私はこうして洗濯機でスーツを水洗いするようになった

西友の¥7,900スーツを自宅の洗濯機で水洗いする生活

スーツを着る生活が再び始まる


昨年暮れから勤め始めた今の会社は、毎日スーツで勤務する会社だ。毎日スーツで勤務するなんて7年ぶりぐらいだ。

ここのところ、しばらくカジュアルウェアで勤務する会社で働いていた。転職して入社する時には、毎日着替えるほどのスーツを持っていなかった。そこで急遽買い揃えた。7年前の私はブランドにこだわるのが好きだった。「スーツを買うならブルックス・ブラザーズ」と決めていた。そんな私も、7年という年月を経て年齢が30代半ばとなった今では自分でも不思議に思うほどブランドへのこだわりが無くなった。たまたま近所に西友があったので、ちょっと話題になっていたその西友のPB商品の¥7,900のスーツを見に行ってみるとしよう。¥7,900というその安さはこれまで聴いた事がない。そんなに安ければ家計は助かる。しかしあまりの安さに、品質は大丈夫なのかと心配にもなってしまう。実際に着てみたという知り合いの評判も聴いた事はないので、自分で店に行き実物をよく調べてみた。手触りはいくらかゴワゴワして、ポリエステルが沢山入っているのが分かるような感じはある。しかし眺めているぶんには、それほど安物だと思わせる様な、おかしな様子はない。流行を取り入れた細身のスタイルも、ダークな色もごく無難だし、「George」というPBの雰囲気もそんなに悪いものではない。十分まともに会社に着ていけるレベルだと思った。7年前には、これぐらいちゃんとしたスーツでこれだけ安価なものはどこを探しても売っていなかったのではないか。私はすぐに3着買い揃えた。

季節の変わり目とスーツの洗濯


その3着の西友のスーツをローテーションしながらひと冬の間着続けた。洗濯が必要になった。普通ならドライクリーニングだ。しかし、考えてみれば、私のこれらのスーツは、1着¥7,900ぽっちだ。そんな安物のスーツを、わざわざドライクリーニングに出すのか。ドライクリーニングにはそれなりにお金が掛かる。金額的なバランスの悪さを感じた。
ぼんやりと思い始めた。そういえば自分はドライクリーニング以外のスーツのメンテナンスの仕方を知らない。知ろうともしていなかった。何か他にも方法があるのではないか?
そんな事を考えているところに、ちょうどテレビで「♪ホームクリーニング エマール」というCMが流れた。コレだ。
西友のスーツは、¥7,900という安さでスーツを私に与えてくれ、さらにその上、ドライクリーニングしか知らなかった私に、別のメンテナンスの方法について考えるきっかけまでも与えてくれた。ポリエステルがたくさん入った西友の安物のスーツは、異常なほど復元性があって、シワがつきにくい。そんなスーツだから、ウォッシャブルだとは特に謳ってはいないけれど、ウール製品を洗濯できるという洗剤とやらを使って、少し気を使って洗えば、まるごと家庭の洗濯機で洗濯してしまっても大丈夫なのではないだろうか。そんな考えが頭から離れなくなった。

「スーツを洗える洗剤」を入手


次の日の会社帰りに、いつもの西友に寄った。スーツを買ったのと同じ店だ。でも今日の目的はスーツ売り場ではない。洗濯洗剤売り場だ。手に入れたいのはもちろんエマールだ。売り場に着いた。エマールはあった。その隣には、ライオンのアクロンという製品があった。そのまた隣にはP&Gの「ボールド 香りのおしゃれ着洗剤」という製品があった。それら3つの製品では「ボールド 香りのおしゃれ着洗剤」が一番安かった。その安いボールドを手にとってよく見ると、花王のエマールほど「ドライクリーニング対応」らしい事がはっきり書かれていない。少し迷った。でも、結局一番安いボールドを買った。大手洗剤メーカーが競合製品として発売するんだから、性能がそう劣る事はないだろう。微妙な違いを比べるのなんてめんど臭い。安いのがいい。今日はもうさっさと家に帰って晩ご飯を食べて眠ろう。


いよいよスーツをまるごと水洗い


土曜日の朝が来た。晴れていて洗濯日和だ。ワイシャツ、下着、タオルなど、いつもの洗濯が終わった。続けてスーツの洗濯開始だ。ボールドのボトルには、洗濯ネットに入れて洗え、と書いてある。洗濯ネットだったら、めったに使いはしないが、うちにもある。いつも洗濯機の側に置いてあるそのネットを取り出してみた。しかしなぜだか急にそのネットを使うのがめんど臭くなった。そして我慢できなくなった。私はネットを元の場所に戻すと、スーツをむき出しのまま洗濯機にぶち込んだ。ちなみに洗濯機は、パナソニックの、5年くらい前の縦型ドラムの全自動洗濯機だ。続けて規定量のボールドを洗濯機にぶち込んだ。いざ洗濯開始のボタンを押すときに、「手洗い」というメニューがある事にたまたま気づいた。まあ、こういうボタンがあるのなら使ってみようか。このボタンを押すぐらいの事ならたいして面倒臭くはないし。洗濯機は手洗いモードでスーツを洗い始めた。

洗い上がった。洗濯機には、紛れも無く一度ずぶ濡れになってから脱水されたスーツそのものが入っていた。ボールドのボトルには、陰干ししろ、と書いてある。困ったもんだ。うちのバルコニーは陽当りがいい。陰干しする場所を一瞬だけ考えた。まためんど臭くなった。その陽当りのいいベランダに、他の洗濯物と並べてさっさとぶら下げた。シワシワに仕上がるのはマズいので、とりあえず手でよく伸ばしておいた。そして出かけた。

夜に帰宅して、ベランダの洗濯物を取り込んだ。スーツも他の洗濯物と一緒によく乾いていた。特におかしな様子は無い。シワになってはいない。プリーツ加工のされたパンツには、うまい具合に折り目が残っている。試しに上着だけ羽織ってみた。縮んでいなかった。思ったよりもはっきりと、水洗いされてさっぱりした感覚があるものだ。ドライクリーニングなんかよりも、こっちの方がずっとさっぱり感がある。

今後もスーツを水洗いするのか?もうやめるのか?


安いスーツの生地は、ウール100%でなく、ポリエステルなど、ウールより安そうな化学繊維が多く混ざっている。
もっと高い値段で売られているスーツだと、ウール100%のものが多い。ではなぜそんなふうにわざわざ高い値段の、ウール100%のスーツなんかが売っているのか。
それはきっと質感が良いからだ。確かに質感を比較すれば、西友の安いスーツは劣っている。
しかし、化学繊維がたくさん混ざったその安物のスーツには、ウール100%のスーツには無い良さがある。それは耐久性や型崩れのしにくさ、速乾性といった、機能的な長所だ。
質感の悪さだけに目をつぶれば、これだけの機能性が手に入るのだ。しかも安く。私のような貧乏ヒマなしサラリーマンには、長所が素晴らしくマッチしている。

今日思った。これからも、スーツは西友で安いのを買って、そして同じく西友で買ったボールドを使って洗濯機で水洗いして、日当たりのいい自宅のベランダに干せばいい。しばらくこれでやって行こう。よくわからないが、なんか水洗いしたてのスーツの様に清々しい気分だ。

※洗濯後のスーツに問題があるか無いかの捉え方は、あくまで個人的主観によるものです。各位慎重にご判断ください。
※ボールド 香りのおしゃれ着洗剤は、現在販売が終了している模様です。ご利用になる場合は、他の同等品をご利用下さい。


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