マークシート試験で役立つシャープペンシル選び
マークシートの試験はシャープペンシルにこだわると有利になる
私は仕事の関係で色々な試験にチャレンジしてきました。数えてみたら国家資格だけで10以上、公的資格と民間資格まで合わせたら15以上の資格を取得しています。多分、平均的な人よりも多くの試験を受けて生きてきたと思います。試験の方法には色々なものがあります。論文を書いたり、図面を描いたり、作業の実技をしたり、色々です。その中で圧倒的に多いのがマークシートを使った選択式の筆記試験です。マークシートのために作られたシャープペンシルがある
最近ではマークシートのために作られたシャープペンシルというものが販売されています。その名も「マークシートシャープ」で、ぺんてるの製品です。一般的なシャープペンシルの芯の太さが0.5mmであるのに対し、マークシートシャープの芯は1.3mmです。
写真で見ると、この様な製品です。
ある日私は偶然に、ホームセンターの文具売り場で見つけました。売り場では試し書きができるようになっていたので試してみたところ、なるほど確かに、これなら0.5mmのシャープペンシルよりもずっと速く、しかもラクに塗りつぶせそうです。ほんの少しの試し書きだけで、その違いはよくわかりました。
ただ、1.3mmはちょっと太すぎるようにも感じました。もう少しだけ細いと、自分には使いやすそうだと感じました。
それで私は色々な太さのシャープペンシルを買って、使い比べてみました。ちょうど良いと感じたのは、0.9mmでした。ちょうど受験の予定があったので、0.9mmのシャープペンシルを実際に投入してみました。たしか第二種電気工事士の学科試験だったと思います。すると、明らかに受験が快適になりました。それまでずっと0.5mmのシャープペンシルしか使って来なかった私は、既にいくつかの試験には合格してしまっていました。ちょっとした事ではありますが、効率悪い事をしてしまったと後悔しました。
ぺんてるのマークシートシャープには、芯の濃さがHBとBのものがあります。試験の規則で使用できる芯がHBに限定されている場合はやむを得ませんが、Bも許可されている場合はBを使った方が一般的には軽い力で早く、濃く塗ることができ、より塗りやすいでしょう。マークシートシャープは、芯の太さと濃さという、2つの部分に工夫のしどころがあるのだということをこの私に教えてくれました。
やっぱり大きな違いは芯の太さ
ところで、0.5mmのシャープペンシルのままでも、芯の濃さを変えるという事ならばできます。それだけでも塗りつぶしやすさは確かに向上します。しかし濃さを濃くするよりも芯の太さを太くした方が、もっとずっと大きな効果を感じます。
しかも、試験によっては、使用できる芯の濃さがHBだけに限定されてしまっている場合もあります。その場合は芯の濃さをHB以外に変えようがないので、工夫するとすれば芯の太さを変える以外にありません。たしかに芯の濃さもポイントのひとつではありますが、それよりもまずは芯の太さにこだわる事を第一に考えるのが良いと思います。
そして芯を太くするともうひとつ別のメリットがあります。細い芯を使うと圧力が集中し、解答用紙が凹む場合があります。すると解答を変更したい場合に消しゴムで消しても凹みが残り、これが採点の際に読み取られてしまう危険があります。東京都教育委員会は、高校生に対する学力テストの案内でこの点に言及しており、最低でも0.5mm以上の太さのシャープペンシルの使用を推奨しています。0.5mmよりもさらに太い芯ならば、圧力の集中はさらに起こりにくくできます。解答用紙の凹みができにくくなり、思わぬ失点を招くリスクを減らせます。
一覧表で比較・太さ別の使い勝手
そうは言っても、わが国のシャープペンシル市場では、シャープペンシルの芯といったら0.5mm、という常識があまりにも強烈に浸透してしまっています。そのせいで、0.5mm以外は使ってみた経験が全く無く、どの辺りの太さから手を出したら良いのか、想像すら付かない、という人も多いのではないかと思います。
そこで、私の個人的な感想ではありますが、芯の太さ別の使い心地を表にまとめみました。
太さ | おすすめ度 | 解説 |
---|---|---|
0.5mm | ★ | 多くの人が使い慣れてきたものだとは思うが、マークシートの試験では塗るのに時間がかかってしんどい。太いシャープペンシルの使い心地を一度知ってしまったら、もはや選択肢としては考えにくい。 |
0.7mm | ★★★★ | その違いはわずかでありながら、0.5mmと比べて塗りやすさを確実に感じる。記述とマークシートが併用された試験でも、持ち替えずに済み対応しやすい。「論述がたくさん+マークシートが少し」という構成の試験に向いている。替芯が0.5mmと同様40本入りであるのが一般的で、価格も同じなのでお得感がある。 |
0.9mm | ★★★★★ | マークシートにはオールラウンドに使いやすい辺りの太さ。塗りのスピードとはみ出しにくさのバランスが良い。大きめの字で記入する論述式の問題にも対応できる。私は個人的に最も多く使用している。 |
1.3mm | ★★★ | スピード重視の太さ。小さな文字を書く事は困難なので、論述式が併用されていない全問マークシートの試験向き。丸っこいマークは特に塗りやすい。細長い長方形のマークだと多少はみ出しやすく、几帳面な性格の人は扱いづらさを感じる事も。 |
2.0mm | ★★ | 早く塗れるが、はみ出しやすい。丸っこいマーク以外で使いこなすには、塗り方を考えるなり、練習するなり、何かしらの工夫や準備を要する。替芯のコストが高くなりがち。 |
実はこんなにあった太めシャープペンシル
マークシートという、ズバリの用途を商品名にしたシャープペンシルが売られるようになったのはかなり最近のことです。しかしそれよりもずっと前から、太めのシャープペンシルというもの自体は、様々な、ちょっと特殊な用途向けに作られ、文具売り場の片隅で細々と売られていました。別にマークシート用にこだわらず、これら他の用途に向けて作られた太めのシャープペンシルをマークシートの試験に流用してしまうのも、十分アリです。むしろ、形や重さなどのバリエーションが多い中で探したほうが、自分にぴったりの製品が見つかり易いと思います。それでは太めのシャープペンシルはどんな用途向けに作られているのか、実際の製品を用途別に見てみましょう。
一般事務・学習用
児童の書き方練習用のものだとか、手書きにこだわる大人向けなど、一般の事務・学習用のシャープペンシルにも、太めの芯のものがあります。昔に比べて、最近の方が製品の種類が少しずつは増えてきている様に思います。比較的価格が安く、形状的にあまり強い個性がないので、気軽にカジュアルな感覚で試せそうなものが多いです。コクヨ 鉛筆シャープ

ロングセラーで、何度もモデルチェンジしている。かつては児童の書き方練習用という用途を全面に押し出していたが、今はもっと幅広い層がターゲットになっている様だ。0.3mmから1.3mmまで、タイプも豊富な充実ラインナップ。手軽に手を出せる価格で太めシャープペンシルの最初の一本にも。
パイロット ドクターグリップ Gスペック 0.9mm

手に優しいロングセラーモデルにも、太め0.9mmのモデルがラインナップされるようになった。メーカー自身もマークシートでの利用を提案している。
Kaweco (カヴェコ) スペシャル・ブラック 0.7mm

大人が買い求める一生モノとして人気のドイツの老舗カヴェコ。8角型のアルミ削り出しボディ。欧米でシャープペンシルというと日本のように0.5mm一辺倒という事はなく、0.7mmのシェアが相当あり、主流の地域もある。
製図用
芯の太さのバリエーションが豊富なシャープペンシルといえば製図用、というぐらい、製図用のシャープペンシルの芯には色々な太さがあるとよく知られているのではないでしょうか。価格帯も、芯の太さも、本体の材質や重量も、種類が豊富で色々選べます。もともとが精密な製図のための道具であるだけに、塗りつぶしたい箇所を細かく狙いやすく、コントロールしやすい製品が多いです。全体的に価格の高い製品が多いですが、よく探せば控えめな価格の製品もあります。
ぺんてる グラフギア1000 0.9mm

製図用シャープペンシルは先端のパイプが長いのが特徴だが、そのパイプを収納できる機構が人気。ペンケースが傷みにくく、シャープペンシル自身の損傷も受けにくい。
ゼブラ ドラフィックス

製図用では最安レベルの低価格ながらハンドリングの良さで学生の入門用からプロにまで幅広く支持される奇跡のロングセラーモデル。
建築用
建設現場では、墨付けとか墨出しといって材料や施工箇所に印や線を描く作業があります。描く場所は紙の上とは限らず、木材やコンクリートなど、色々な素材の上に描きます。その作業にシャープペンシルを使う人もけっこう多いです。注意してみると、現場監督や大工さんの左腕のペンポケットや胸ポケットにはシャープペンシルや鉛筆がよく差してあります。ヘルメットに装着している人も居ます。工事現場で使う道具であるだけに、頑丈で壊れにくく、しっかりと握りやすいものが多いです。
uni フィールド

太さ2mmの芯だが、いわゆる「芯ホルダー」ではなく、ノックごとに一定の長さの芯が繰り出されるシャープペンシル。精巧に作り込まれており一見して品質の良さが分かるほどなのに、価格が見合っていない位に安い。
工事用 シャープ鉛筆 2.0㎜ HB

コスパの良さで知られるシンワ測定は、シャープペンシルもコスパが良かった。先端の形状は2.0mmの芯に合わせた短い形状。
速記用
「速記」という言葉自体を最近は聞かなくなってしまいましたが、これはその速記用のシャープペンシルです。速記に使う人でなくても一般的な文具として日常的に使いやすいという事が文具愛好家に向けたメディアで取り上げられ、注目される機会が時々ある様です。
プラチナ プレスマン 0.9㎜ HB

全体的に軽量ながら、ペン先はガッチリした造り。グリップは加水分解や経年劣化が進行するラバーなどでなく、シンプルにプラスチックに溝を刻んだ、耐久性のあるつくり。質実剛健に徹している。最初に付属している芯の濃さが2B。
結局どんなシャープペンシルがいいの?
私の考えとしては、「マークシートの試験だからマークシート用のシャープペンシルが一番」と、餅は餅屋的な発想でに決め付けずに、もっと幅広い選択肢の中から自分にとって確実にしっくり来るものを個別的に見つけ出すのが良いと思います。
というのは、人には体格やペンの持ち方や筆圧の強さなどに個人差があるからです。試験の内容も、全問マークシート方式だったり、マークシートと記述が併用されていたり、これまた色々あります。回答用紙の塗りつぶし部分の図形の形状にも丸っこいもの、長方形のもの、線のように細長いものなど色々なものがあります。なので、「誰にとっても、どの試験でも、マークシートの試験を受験するならばこれがベスト」というものを1つに絞り込むような事は、もともと無理があると思います。
私自身も、色々比較してみた結果、個人的に手にしっくり馴染む気がしたのはほとんどが製図用のシャープペンシルでした。マークシート用のものも使いやすいと感じるものでしたが、製図用のシャープペンシルではそれをさらに上回るものがいくつか見つかりました。そして、お気に入りは1本だけではなく何本かあり、例えばマークシートだけの試験であったり、マークシートと論述とが併用された試験の受験であったり、試験に合わせて芯の太さを使い分けています。
しかしそんな中でも言えることは、少なくともマークシートを塗りつぶす試験で0.5mmの芯が最も使いやすいと感じるケースなどほぼ無いという事です。それより太いものにしたほうが受験しやすいと感じます。とりあえず、0.5mmのシャープペンシルでマークシートの試験を受験している人には、太めのシャープペンシルを少しでも早く試してみる事をお勧めします。私と同じ様に無駄な苦労をして後悔をする人が、少しでも減る事を願っています。