ひとり暮らし・家の鍵紛失対策の大本命は

ひとり暮らししていて家の鍵をなくしたら

ひとり暮らしで、家にカギをかけて外出する。その鍵を外出先で落として紛失してしまったら…


考えただけで恐ろしい。それに近い事なら何度か経験している。紛失こそしないものの、会社の自分の机に忘れて来た事なら何度かある。そういう時は、自宅の玄関ドアの正面まで帰ってきてからようやくその事に気づくのだ。決して帰り道の途中で気づいたりなどしない。そしてそのタイミングはだいたい夜中だ。

カギをなくして困っている人のイラスト

 仕方なく、1時間かけて会社に戻り、セキュリティを解除して誰も居ないオフィスに入る。そして自分の机に置き忘れた自宅の鍵を持ったらオフィスを施錠し、セキュリティをセットし、また1時間かけて会社から再び家に帰る。幸いなことに私はまだ経験していないが、その時点で最終電車が終わっていたなら、タクシーで家に帰らなければならない事になってしまう。

よく「カギの救急車」なんて言われる解錠業者が居る。ある時、会社に忘れた鍵を取りに戻るのが面倒だったので、試しに電話をしてみた。するとこっちが困っている事につけ込んでべらぼうに高い費用をふっかけて来た。3件程電話してみて、相場3-4万円といったところだ。それだったら近くのビジネスホテルで一泊して、翌日会社にある鍵を持ち帰る方がよほど安上がりだ。因みに同じ業者さんでも、こういう夜間の緊急解錠でなくて、日中に予めアポを入れて解錠サービスを依頼する場合ならば、立地や鍵の製品の種類にもよるが、半分以下の金額で済む。安ければ1万円でお釣りが来る事もある。

こんな鍵の紛失や置き忘れというのはひとり暮らしならではの心配事と言ってもいい。当面ひとり暮らしを卒業する予定などないのだけれども、この心配事をなんとかする事はできないものか。

「なくさない」よりも「なくしても家に入れる」の発想

「鍵を落とさないためのアイデア」や「鍵をなくさないためのアイデア」についてネットで検索をしてみると、ワイヤー付きのキーホルダーを使うとか、キーホルダーにスマートタグを付けるという情報がすぐに沢山みつかる。確かにこうしたアイデアで鍵を落としたりなくしたりする危険をある程度減らす事はできそうだ。

しかしひとり暮らしの私に必要なのはそういう事ではないのだ。例えば鍵にワイヤーを付けたところで、ワイヤーが切れたり、キーホルダー付きの鍵をまるごと落としたりする事もあるだろう。あるいはスマートタグを付けたところで、そのタグが常にちゃんと通信可能な状態であってくれるとは限らない。

さらに、家の鍵が開けられなくて困るケースは、落としたりなくたりした場合に限らない。たとえば、外出先で「置き忘れる」というのはその典型的なもののひとつだ。置き忘れるパターンにも色々あって、鍵を入れたバッグなどをどこかに置き忘れてしまう場合もあれば、使う必要の無い鍵を無意識に取り出してそのまま置き忘れるという、理屈では説明不能でイレギュラーな行動を取って置き忘れる事もある。

私などは、上にも書いたように、会社では全く使うことなどない家の鍵を会社の机に置き忘れるという、自分自身でも意味不明の行動を取ってしまう事がある。しかもあとから振り返ると、全く記憶の無い状態でそうしてしまった訳でもなく、自分自身でも会社で鍵をポケットから取り出した記憶が確かにある。ただ、どういう必要があってそういう行動を取ったのかが解らない。そんな意味不明で支離滅裂なミスを2年に1回ぐらいの周期で繰り返している。

知人にその事を話してみた事がある。「お前、それはおかしいよ」と言われるかと思ったら、意外にも「そういう事ってあるよね」という反応だった。その人の場合はちょっと違っていて、「今ポケットの中に鍵が無い理由がなぜなのかまったく想像もつかない」ということをごくたまに繰り返してしまうのだそうだ。こういう場合は、紛失したのか置き忘れただけなのか、それすら分からない。私から見て、この人のこういう行動に対して全く理解も共感もできないかと言えばそんな事はない。明日は我が身という思いがある。

私は思った。結局、人間である以上、どうしても、そういう予測不能で制御不能なミスの発生をゼロにする事はできないのではないか。「うっかり」とか「無意識に」とか「頭が混乱して」という事をゼロにすればたしかに落下防止などの対策を取るだけで十分だと思うのだが、ゼロにはできないのだ。人間はそういう出来損ないでイカレた部分を未来永劫持ち続けているのだ。そんな人間を救うための対策は無いものなのか。少なくとも、よくあるワイヤーつきのキーホルダーやスマートタグとは違う筈だ。

そんな事をモヤモヤと考え続けていた私はある日、一人暮らしの私と、家族と一緒に暮らしている人との、ひとつの決定的な違いに関してピンと来た。何かというと、自分がカギを持っていない状態で、玄関のドアを開けてくれる人が居るか居ないか、という点だ。つまり、カギをなくしてしまったらもう家に入れないのが私で、カギをなくしても家に入る事ができるのが家族と一緒に暮らしている人なのだ。

ここに気がつくと、解決策を見つけやすくなってくる。ひとり暮らしの私であっても、カギをなくしてしまった場合に家に入れるようにするにはどうしたら良いのか。その方法を見つける事こそが、満足の行く効果的な改善に結び付く筈だ。

一人暮らしでもできる鍵の紛失対策

具体的には、どんな対策をしたらよいのか。家の中に入れる状態を作ると言っても、一人暮らしの人ならば、玄関のドアにカギをかけずに外出する訳には行かないし、窓を開けておくなんていう事も危険で、できるわけがない。

最近は、スマホアプリを使ってインターネット経由でカギを開閉できるスマートロックというものがある。これを使うと、カギを使わなくても、スマートフォンでドアのカギを解錠する事ができる。しかしこれには弱点も多い。例えば、
  • ハッキングにより他人でも解錠できてしまう
  • カギと一緒にスマホも紛失すると開けられない
  • スマホが電池切れだと開けられない
  • 自宅のLANやインターネット回線に不具合が起こると開けられない
  • 停電していると開けられない
  • 価格が高い
  • 定期的に動作確認をするなどのメンテナンスが必要
  • 設定が簡単ではない
こうやって見ると弱点がかなり多く、さらにコスパが良いとも言えない。

それに比べて、もっと良いと思える方法を思いついた。それはスペアキーをしまっておくキーボックスだ。こういうものだ。スマートロックよりもずっと昔からある方法だ。

キーボックスの見本写真


これは南京錠みたいにぶら下げておく頑丈な鉄のケースだ。4ケタの暗証番号を揃えると蓋が開いて中のカギが取り出せる仕組みになっている。これに、スペアキーを入れておく。そして、カギが無くても立ち入り可能な場所に設置する。設置場所はこんなことを考慮して選ぶと良いだろう。
  • メーターボックスだとかの目立たない場所
  • 逆に、マンション管理人などの関係者の目につきやすい場所
  • 防犯カメラによく写る場所
  • ダイヤルロック式の郵便ポストの中
郵便ポストの中に入れておく場合は、ポストの投函口からは取り出せないぐらいの大きめサイズのキーボックスを選んだり、あるいは何かかさばるものにキーボックスを取り付けた状態にして、ポストの投函口を通り抜ける事ができないようにしておくのが良い。

こういう製品はもともとどういう用途に使われるのかというと、 例えば不動産屋さんが売出し中の物件を施錠する時に使われたり、工事中の現場などで建設会社の監督さんや職人さんが入室制限するために使われたりしている。

ただしもしもこれを使うならば、家の外にカギを置いておく事になるので、まずはリスクをよく理解する事が必要だ。家主に限らず、4ケタの番号を合わせれば誰でもキーボックスを開けることができてしまう。そして中から取り出した鍵で普通に玄関を開け締めできてしまう。なのでこれを使うならば、不審者がこのキーボックスを開けない様な工夫や対策などが必要だ。また、こまめに暗証番号を変更するのが安全だ。

キーボックスを設置する事によって、不正にカギを開けられてしまうという若干のリスクは生じる。しかしそれと引き換えに鍵を紛失して家に入れなくなるというリスクをほぼ解消する事ができる。この両者のメリットとデメリットを比較して、メリットが大きいと納得できるならば導入すると良いだろう。ちなみに私自身は使っており、ごくたまにお世話になる。暗証番号や設置場所を適切に管理できる人には、現時点ではおすすめの手段だと思う。


開閉の向きやダイヤルの位置などが使いやすいようにできている。低価格で、収納部分の容積が比較的大きく、けっこう大きめの鍵や複数の鍵でも収納できる。

和気産業 携帯式保安ボックス錠 SPARE KEY BOX Mサイズ
和気産業 携帯式保安ボックス Mサイズの製品写真
直感的に使いやすい設計。3種類のサイズがあり、大きい鍵に対応できるほか、ちょっとした小物の受け渡しにも使える。