100均のスプレーボトルの耐久性

「安物買いの銭失い」を反省

私はむかし、スプレーボトルを100均で買っていた。しかしそれは私にとって失敗だった。今はスプレーボトルはもう100均で買わないと決めている。なぜなら100均の商品は耐久性がなく、すぐに壊れてしまうからだ。
では、他に何かもっといい製品があるというのか。私は最終的に、自分なりに納得できる製品を見つける事ができた。同じ事で不便を感じている人の為に、詳しくその話をしてみたい。

壊れ続けた100均のスプレーボトル

私は引っ越しを機会に、新しい家ではきちんと掃除をして暮らそうと考えた。家事に関するネット記事の情報を頼りに、ダイソーでスプレーボトルをまとめて買い込んできた。それらに徳用ジャンボサイズのおふろ洗剤、除菌用アルコール、希釈した漂白剤、クエン酸の水溶液などを入れて使い、家の掃除をきちんとするようになった。ところがはじめは調子良かったのに、暫く経つとスプレーボトルがダメになってしまった。持っているスプレーボトルは次々とダメになって、全滅した。
全滅したのは、スプレーボトルを買ってからまだせいぜい半年しか経っていない頃だった。私が最もよく使うのはおふろ洗剤用のボトルだが、中身を2~3回詰め替えた程度で壊れてしまった。他のボトルも壊れた。あるものはトリガーが固まって動かなくなってしまった。あるものはトリガーを引いてもスカスカと空振りしかしなくなった。トリガーがポキンと折れるという分かりやすい壊れ方をした事もあった。色々な壊れ方をした。 はじめのうちは考えもせず、壊れたものは再び同じ様にダイソーで買ってきては補充していた。すると買い直したものもまた長持ちしない。丁寧に使っていても壊れてしまう。そのうち、あまりにも耐久性がなくて違和感を感じてきた。さすがに、もう少し長持ちしてもいい筈だろうと。

壊れ続ける実態について調べる

私はなぜスプレーがすぐに壊れてしまうのか、調べてみた。しかしすぐには情報が見つからず、けっこう粘り強く調べたところで、ダイソーに限らず100均のスプレーボトルは耐久性が無いという情報が、次第に見つかってきた。壊れたのは私が無理な力を加えたりしたとかそういう事ではなく、製品そのものが壊れやすいものだという疑いが濃くなっていった。

そう言えば、100均のプラスチック製品がすぐ壊れてしまうと言ったら、他にも心当たりがある。洗濯に使うハンガーや洗濯バサミなどの製品だ。100均以外でもうすこし高い価格で売っている製品に比べると、ずいぶん早くボロボロに劣化して壊れてしまう。だからこれらに関しては既に100均では買わないようにしていた。因みにこれら洗濯用品が劣化する主な要因は紫外線らしい。

とにかく、100均のスプレーボトルが壊れやすいものだという事が分かった今、これ以上買い続けてはいられない。

脱・100均へ

次にスプレーボトルを買い替える時には、100均で買わず、試しにアマゾンで買ってみる事にした。価格は1本あたり数百円するもので、100均と比べたらいくらか高価だ。使ってみるとそれは期待通り丈夫で、壊れにくいものだった。その時に買ったものをもう数年使い続けているが、未だに壊れたものがひとつも無い。

その長持ちしているスプレーボトルは、レビューの評価を頼りに、サイズや価格を確認しながら、とりあえず選んでみたものだった。それがプロの清掃業者も使う製品だったという事は後から知った。これまでに何本も100均で買ってしまった分のお金は無駄になった様に感じるが、授業料だと捉えておこう。

アマゾンで注文した製品が届いて、最初にひと目見た瞬間にもう、思い知らされた気がした。100均の製品とそのアマゾンで買った製品とでは、見た目がまるで違う。アマゾンで買った製品は、うんとゴツい形をしていて、見るからに頑丈そうなのだ。隣同士に並べてみたら、違いは歴然だ。どこを取っても細くて薄くて華奢な100均の製品を見れば「こんなんじゃダメだよね」というセリフが思わず出てきてしまう。

 

100均と業務用のスプレーボトルの比較写真
左が100均で右が業務用。ゴツさがまるで違う。黄色い中身はおふろ洗剤(アルカリ性)。

耐久性のなさは100均の宿命か

100均でない製品だと、例えば濃度○%以内のアルコールが入れられるとか、シンナーやガソリンは入れられないとか、濃硫酸・濃塩酸は入れられないとか、どんな液体を入れて使えるのか、という情報がある程度パッケージに書いてある。しかし、100均の製品にはそういう情報が見当たらない。だから厳密に言えばどんなものを入れられるのかは不明だ。不明だけれど、一般的に考えて、それよりも高価なものに比べて性能が良い事などないだろうし、ある程度の耐薬品性があるのなら、アピールになるのだから、メーカーだって自発的に表示する筈だ。

住まいの掃除に使う液体は大体、アルカリ性か酸性のどちらかだ。おふろ洗剤はアルカリ性だ。クエン酸の水溶液は酸性だ。重曹の水溶液はアルカリ性だ。いずれにしても、中性のものはほとんど無い。だから住まいの掃除に使うスプレーボトルは、酸やアルカリに耐性のある、イオン反応しにくい素材でできている必要がある。

ところが100均のものは、どうやらそうではない様だ。酸性やアルカリ性の液体に触れていると、それだけで素材のイオン反応が進行して劣化してしまうらしい。加えて、材料を量的にも節約するために、肉薄で華奢な構造になっている。だからきっと、化学反応で材料強度の劣化がはやく進行していくところに、華奢な造りからくる構造強度の弱さがたたり、日常的な使用で発生する応力が許容できる限界値をすぐに上回るようになってしまう。その結果破壊が起こってしまうのではないか。きっとこれは、採算にのるような低コスト水準に合わせて逆算して設計や素材選びをしている以上、宿命的といえるだろう。

まとめ

100均のスプレーボトルについてまとめると、次の事が言える。

  • 材料強度の劣化の進行がはやい
  • 構造強度が弱い
  • 日常的な使用で発生する応力が、許容できる限界をすぐに超えて、破壊が起こる
  • つまり耐久性が無いが、これはコストの制約上、避けられない
かつての私と同じ様に100均のスプレーボトルの耐久性に不満を感じている人は、試してみる事をおすすめする。 

ならばどれを買えばいい?スプレーボトルカタログ 


それでは一体どんなスプレーボトルを使えば良いのか。スプレー業界の有名ブランドなど知らなかった私は、この機会に調べてみた。すると、プロの清掃業者も愛用しているような、洗剤を入れても問題なく使える、丈夫な製品が色々と見つかった。まとめておくので、購入のヒントにして頂きたい。

花王プロフェッショナル・サービス


業務用でも家庭用でも、Kaoグループの洗剤は有名で多くの人にとっておなじみだろう。Kaoブランドの業務用の洗剤や、それら洗剤を入れて使うためのスプレーボトルを売っているのが花王プロフェッショナル・サービスだ。なので、花王プロフェッショナル・サービス製のスプレーボトルならばもちろん洗剤を入れて使っても壊れる事はなく、安心して使う事ができる。

住居用洗剤 つめかえ用スプレー容器 400mL 業務用


はじめての業務用のお試しとしても購入しやすい、安価な製品がこれだ。プロ向け製品ではおなじみの仕様となっている「振り子ホース」が省かれてはいるのだが、その分低価格で、素材的にはもちろん一般的な洗剤を入れて使用しても壊れる事がなく、噴射もパワフルだ。


キャニヨンスプレー

世界で最初にトリガー式スプレーを作ったと言われているのが、何とここ日本の企業のキャニヨン株式会社。そのキャニヨン製のスプレーヘッドを使用してスプレーボトルを売っているのが、コンドルブランドでおなじみの業務用清掃用品メーカー、山崎産業。知る人が見れば「キャニヨン」という名のスプレーヘッドの信頼性は相当に高いものがあるらしく、それをアピールした「キャニヨンスプレー」という製品名で売っている。ただ、販売メーカーは「キョニヨン」というのが恥ずかしいのか、「キャニオン」という揺れ表記にしてしまっているのだが、そこはご愛嬌。

キャニオンスプレー H500


テコの原理を上手く利用した設計で、軽い握力でパワフルに噴射できるスプレーヘッドを採用。カールコードの様な管から内容物を吸い上げる設計で、逆さま向きでも噴射する事ができる。「キャニヨン」でなく「キャニオン」という製品名だけれども、スプレーヘッドはキャニヨン製。


ダリヤスプレー(マルハチ産業)


園芸の分野に強いダリヤスプレー。このメーカーの製品も耐久性が高く、例えば濃度80%までのエタノールにも対応できるものが多い。機能面もプロ向けに充実しており、逆さま向きでも噴射可能なものが数多くラインナップされている。

ザ・スプレー #55


誰にでも扱いやすく、どんな用途にも使いやすいその名も「ザ・スプレー」シリーズ。立てた時に安定しやすい円形ボトル。しっかり握りしめず軽く握った状態でも手に軽くぶら下がるような設計で、落下しにくい。



ダイヤスプレー(フルプラ)


ダリヤスプレーと似ている名前のダイヤスプレー。有機溶剤を噴霧できる製品や高圧蒸気滅菌に耐える製品など、特殊でタフなスプレー製品を幅広く製造しているフルプラ。品質へのこだわりが強く、皇室が製造工場の見学に訪れたこともあるというスプレー界の名門。

No.500 ピストルタイプ 500mL


家庭のアイロン掛けから様々な業界のプロフェッショナルに幅広く愛用されているスタンダードモデル。ブラックのパーツが印象的。