災害時に使える理想のラジオ(受信機)とは?
災害時に備えて、ラジオが必要だと思っている。しかし、買いたいと思うような製品がないので困ったものだ。
ラジオ放送は、普段通りに過ごしているのならばスマホやパソコンでradikoから聴くことができる。しかし、大地震などの災害が起こると物理的な損傷や停電などによって自宅のブロードバンドは使えなくなってしまう可能性があるし、モバイルの回線は輻輳してパンク状態になってしまうかも知れない。やはり災害に備えるのならば、IPでなく昔ながらの電波によってブロードキャストされるラジオが聴けた方がより安心な気がする。なので欲しいと思って探しているのだ。
しかしいくら探しても欲しいと思うような製品がまるで見つからない。ラジオの製品の種類は結構多いというのに、どの製品も横並び的に同じ仕様ばかりだ。お気に入りの製品が見つかるかどうかという事以前に、そもそも必要だと思っている機能を過不足なくカバーしている製品が見つからない。
そこで、自分にとって理想的な、架空の製品のラジオのスペックと機能を考えてみた。バカだ。
絶対に欲しい機能と、無くても良いけどあればうれしい機能について分けて考えてみた。更にバカだ。
─絶対に欲しい機能─
- DC5V USB端子からの電源供給
- 18650リチウムイオン充電池内蔵(ユーザー自身で交換可能)
- ステレオスピーカー
- パッシブラジエーター
- ワイドFM対応
- AUX IN
- ステレオイヤホン接続端子
- 充電池残量表示(粗い表示でもOK)
─無くても良いが、あればうれしい機能─
- デジタルチューナー
- Bluetoothスピーカー機能(スマホの音楽をワイヤレスで鳴らせる)
- LINE OUT端子
- ハンズフリー機能(Bluetoothでスマホとペアリングして通話できる)
- 時計機能(電波受信機能つき)
- バックライト機能
- USB電源出力ポート
- USBケーブル付属
─要らない(これがあると買わない)機能─
- ワンセグTV
- 手回し充電
- CDプレーヤー
使い方としては、普段から毎日使って、災害で非難する時には、いつも使っているそれを避難所まで持ち運ぶ、という使い方をしたい。
- いつも電源につないで使っているからフル充電になっている
- 毎日使っているから探すことなくすぐに持ち出せ、操作にも迷わない
- 停電した時や、コンセントを占有できない場所でも、内臓の充電池で駆動できる
東日本大震災の時には、計画停電というものがあった。電気がずっと使えない訳ではないけれども、エリアごとに交代して電気を使えない時間帯を設けるというやりかただ。「大災害の時にはこんな事が起こるのか」という、リアルな感覚がまだ残っている。そんな状況だと、上に書いたようなラジオがちょうど使いやすい筈だ。
また、上に挙げた通り、これがあったら買わないという、要らない機能もある。
ワンセグTVが付いていると、NHKの受信料を払う必要が生じてしまう。だから要らない。日常生活にもうテレビなんか要らない。たしかに動画を見たい時はあるが、YoutubeもTverもAbemaもある。それらで十分だ。不自由は感じていない。
手回し式発電機も要らない。これがあると、ラジオが重く、大きくなってしまう。東日本大震災を経験してわかった様に、2日も3日もコンセントから充電できるチャンスがまるっきり無い、という事態にはなりにくいという事だ。それなのに、日本のメーカーは手回し式発電機を付けた防災用ラジオを押し売りしたがる。実際の災害現場では使う可能性が小さい筈だ。メーカーはそこをよく考えて欲しい。
CDプレーヤーももちろん要らない。しかしなぜか、日本の家電メーカーはCDプレーヤーを付けて、「CDラジオ」というカテゴリーの、この時代にだれも欲しくないような製品を作りたがる。だからCDラジオ製品は種類がたくさんある。作っていて違和感など感じないのだろうか。いくら市場調査が不十分なのだとしても、自分たち自身の生活感覚でそろそろ気が付いて欲しいものだ。
しかしなんだかんだ言って、買うならば、故障しにくい日本のメーカーの製品を買いたいのだ。日本のメーカーの製品は不良品が少なく、故障しにくいからだ。この部分では中国のメーカーの製品とは今なお違いがある。
90年代位までは、日本の家電は、他のどこの国の家電よりも機能性がよく吟味されていて使い勝手が良かった気がする。しかし2000年代辺りからそういう事をだんだん感じなくなりはじめ、今ではついに全く感じなくなってしまった。逆に、買いたくなる製品が出てくる事が、とても珍しい事になってしまった。
まず思うのが、新しい機能や仕様の実装が遅い。だからと言って、従来のレガシー的な機能に磨きを掛け続けて使い勝手が熟成された製品を作り続けているかと言えば、そうでもない。フラフラとブレまくってどっち付かずで中途半端な製品ばかり作っている。対する中国製品はためらいなく新しい機能をぶっ込んで来る。そして売れている他社製品があればためらいなく真似する。いつの間にか、その新機能が搭載されている製品が市場の主流になる。中国メーカーがそうしてスピーディーに進化していく間に、日本のメーカーは、時代遅れのオッサンたちがチンタラチンタラと新しい発想をつぶすための会議を開いてばかりいる。中途半端に時代を後追いして、決して追いつかない。ましてや時代を引っ張る立場になどならない。多少偏見が入っていると思うが、かといって大間違いではないだろう。
日本の家電店に行けば、そんな中途半端なメーカーの中途半端な製品であふれかえっている。だからと言って、私も私でそういう日本メーカーの製品を買わない訳にも行かない。子供の頃、家電製品を買いに行くというのは、自分の想像を超える新機能を備えた新製品に出会う機会で、わくわくする楽しみに溢れたものだった。しかし今では、良いとは思わない製品同士を比較して、少しでもマシなものを渋々選び出してそこにお金を払うという、わくわくするどころか、苦痛な機会になってしまった。そしてついに、そんな風にどうせ満足感が得られない製品を買うのならば、高い日本製品よりも中国製品の方が安いだけマシ、と考える事も起こり始めるようになってきた。そしてそう考える回数は、日を追うごとに増えて行っている。
さらに最近になると、価格の安さばかりでなく、全般的な使い勝手までも、日本製品が中国製品に劣っていると感じる機会も増えてきた。今や中国企業の方が、機能や仕様の取捨選択が上手だと思ってしまう。人々が本当に便利だと感じる仕様をよく分かっている、と感じさせるのは、かつては日本のメーカーの専売特許だったが、いつの間にかそれが中国企業の手に渡ってしまった感覚だ。
ところで私自身には2年間ほど外国で、それも途上国で生活した経験がある。それ知ったのだが、日本の電力供給や通信回線などの生活インフラは、世界ではなかなか比べる相手が居ないほど安定していて、上質なのだ。世界中でみると、こんな国は本当に珍しい。世界のほとんどの国は、こんなにインフラが安定してはいない。いくらか語弊があるかも知れないが、ちょうど日本のインフラが大災害でダメージを受けた時の状況に近い。そういう国々の売れ筋の家電製品は、日本の売れ筋とはちょっと違う。ある程度タフな要素やラギッドな要素のある製品が売れている。
だから私は、途上国の売れ筋商品を日本に逆輸入で持ってくれればいいのに、と思う。災害時にはきっと使い勝手が良くて役立ってくれるのではないかと思うのだ。コスト的にも安上がりだろう。でも、日本のメーカーはそんな事をしない。おまえら日本人はこういうのが好きに決まっている、と言わんばかりに、要らない機能だらけの製品をゴリ押しする姿勢を決して崩さない。
ラジオに関しては、↓の製品が、今のところ欲しい物に一番近いものだと思う。聞いたことのない中国のGemeanというメーカーの製品だ。メーカー名の読み方すら分からないが、仕様が素晴らしく、理想に近い。ただしレビューを見ると、どうやら品質が安定していない様子が見て取れる。だから注文を躊躇している。でも、いくら待っていても日本のメーカーがこういう製品を作りそうもないので、買ってしまいたいという気持ちがじわじわと増してきている。
Gemean J-288 ポータブル ラジオ