イトーキサリダYL2の特徴と評判

ふだん私は共同住宅の設計を仕事にしているのですが、インテリアコーディネーターの肩書も持っています。以前、大きな会社のオフィス管理の仕事をしていて、数百台単位でオフィス家具を発注したりしていた時期がありました。そのため、知人からインテリアについて、そして特にオフィスやワークスペースについて相談を受ける事が日常的によくあります。

そんな中で、ここ最近急増している話題があります。それは

「自宅でのテレワーク用にイトーキのサリダYL2を買いたいと思っているけど、どう?」

という質問です。

メーカーと型番まで絞り込まれて、ピンポイントで質問を受ける事が多いのです。どうもこの製品が人気があって話題になっている様です。これまでオフィス用家具でこんな事は無かったので、不思議に思っています。テレビ番組で紹介でもされたのでしょうか。

しかもイトーキなんて、その辺のショッピングモールで売っている様な製品ではなく、言ってみればなかなか家庭では馴染みの薄い、コテコテの業務用のオフィス家具メーカーの製品です。調べてみるとコロナ以降、従来のようにBtoBで卸売をするだけでなく、アマゾンなどのBtoCのチャネルで販売するという、新たな販路の開拓を始めたようです。その際、おそらく従来のサプライチェーンに対する配慮によるものと思われますが、BtoBで販売されている既存製品とは違う、BtoCで販売するための専用の製品を作っている様です。たしかに、リモートワークが増えれば、その分オフィスの家具の需要も減るでしょうから、時代に合った戦略でしょう。

結論から言うと、たしかにサリダYL2は、テレワークにはとても適した、かなり良い選択肢だと思います。私はいちどに300台のオフィスチェアを発注した経験もある位で、かなり多くのオフィスチェアの情報に接してきたと自負していますが、その視点で見て、絶妙な特徴をうまく持ち合わせた良品だと思います。

まず、イトーキ製のオフィスチェアならばどれでも

  • 会社のオフィスでも使える耐久性
  • 長時間の使用で疲れにくい機能性

という基本的な良質さがあります。それはもちろんYL2にもあります。それに加えて、従来のオフィスにはなかった、家庭で使うのに適した優れた特徴もプラスされています。

 家庭で使うのに適している特徴の1つ目は、他のオフィスチェアとは一味違うカラバリです。ファブリックのカラーにアンバー、ベージュ、ターコイズなど、オフィスチェアではなかなか見かけないカラーが用意されていたり、プラスチックの部分の色がホワイトのものが用意されている点です。住宅内のインテリアと馴染みやすいカラーを選ぶ事ができ、一般的な事務所とはひと味違うインテリアの雰囲気を出すことができます。

サリダYL2のカラーバリエーション

2つ目は、外側は無駄な出っ張りなどを無くしてコンパクトなスペースに収まるようにしながら、オフィスチェアとして十分ゆったりとした座面の広さを確保してあるという、空間的に効率よく設計されているという点です。家庭向けのオフィスチェアは、一般的に業務用製品に比べ小ぶりにできています。なのでコンパクトという点では住宅での使用に適しているものの、一般的に座面なども小ぶりになってしまい、座り心地までどこかせせこましくなってしまうのが困った点です。それに対してサリダYL2は、外側をコンパクトにしつつ、座面のゆったりさを犠牲にしないように、明確に狙って設計してある点が、これまでの製品とは違うポイントです。「包み込むような安定感」なんていう宣伝文句はよく聞く気がしますが、実際に座ってみるとまさにその感覚が強く実感でき、ゆったりと安定した座り心地が得られます。

サリダYL2の寸法(イトーキオンラインショップより)

このように、他の製品にはなかなか無い様な独特な長所を持ったサリダYL2ですが、それでいて価格がリーズナブルという点が、人気を決定づけている大きな要因だと私は見ています。カラーリングにしても、設計にしても、製造コストが上がってしまうような付加価値を付け足している訳ではないのです。どのオフィスチェアでも行われているデザインや設計の部分で、ちょっとした工夫が盛り込まれただけなのです。無理のない方法で製品の価値を高めるという、かつての昭和の時代の日本のものづくりの良さを思い起こさせるような良品です。大いにおすすめの製品です。


イトーキ オフィスチェア  YL2 肘なし (アンバーブラウン)