ワーナー系列の中古CD、リッピングできないものに要注意!?

音楽のサブスクリプションやダウンロード販売が今とても人気だ。それを知らない訳ではなく、私は今も中古CDを買って自分でパソコンを使ってリッピングしてウォークマンで聴いている。

サブスクは結構手頃な月額価格なのだが、通信環境次第では途切れたり、最悪聴くことができなくなってしまう。それに、通信料が増えれば、通信キャリアに支払う別のコストが増えてしまう。一方でMP3のダウンロード販売は今でも単価が高い。特に私はアルバムを通して聴く聴き方が好きで、そういう事も加味すれば今はまだ中古CDの方がコスパがいいかな、と思っている。メリットだって確実にある。リッピングしてウォークマンで聴けば電波状態が悪い場所でも途切れる事なく快適だし、スマホのバッテリーは温存しておける。音質だってハイレゾだ。

サブスクが人気になった事で中古CDは以前に比べて人気が低下したのか、最近は相場がかなり安くなってきた。いきおい、買う量が増えてしまっているのはある種の悩みだ。

そんな中で、「リッピングに失敗するCD」「まともに再生できないCD」というものにたまに出くわす事がある。リッピングしようとしると異常に時間がかかり、出来上がったオーディオファイルを再生すれば明らかに元の音楽の音とは違う、ノイズになってしまう。大昔の拡声器をフルボリュームにしたというか、全体にディストーションのエフェクトのゲインをマックスにしてかけたような、原音が分からないぐらいにジャリジャリに音割れした、とにかく歪みきった音になってしまうのだ。リッピングせずにパソコンの光学ドライブで再生しようとした場合も、同じ様なジャリジャリの音質になってしまう。盤面を見るとキズやヨゴレがあるわけでもない。

ケースに入ったCDのイラスト

もちろん、CCCDという存在ならば知っている。しかしこの音が歪むCDは、CCCDとはどうも様子が異なっている。大半のCCCDというものは、特に問題なくリッピングできてしまうものだ。たまに何度か失敗するような事はあっても、色々方法を変えて試せばリッピングできる。それに対してこの音割れしてしまうCDは、ふつうのCCCDとはまた種類が違って、さらに手強いというか、絶対にリッピングに成功させないんだ、というぐらいに強固な意思のようなものを感じる。そのうえ厄介な事に、パッケージをよく見てもCCCDのロゴが見つからない。どこにもCCCDとは書いていないから、きっと別物なのだ。外側から見てリッピングに抵抗するCDだと見分けが付かないだけに、いっそうタチが悪い。

私がそういうCDに当たってしまったタイトルを具体的に挙げると、これらのものだ。

  • Dinosaur Jr. / Where You Been  ダイナソーJr. 「ホエア・ユー・ビーン」
  • Dr. John / Gris Gris  ドクター・ジョン「グリ・グリ」
  • The Flaming Lips / Yoshimi Battles the Pink Robots
    ザ・フレイミング・リップス「ヨシミ・バトルズ・ザ・ピンク・ロボッツ」
  • Fleetwood Mac / Rumors  フリートウッド・マック「噂」
  • Mastodon / Blood Monutain  マストドン「ブラッド・マウンテン」
  • Neil Young with Crazy Horse / Everybody Knows This Is Nowhere
    ニール・ヤング・ウィズ・クレイジー・ホース「ニール・ヤング・ウィズ・クレイジー・ホース (エブリバディ・ノウズ・ディス・イズ・ノーホエア)」
  • Nirvana / Bleach  ニルヴァーナ「ブリーチ」
  • Pat Metheny / Secret Story  パット・メセニー 「シークレット・ストーリー」
  • Pat Metheny / Speaking of Now  パット・メセニー 「スピーキング・オブ・ナウ」

私はある共通点に気づいた。全て洋楽の輸入盤なのだが、それだけではない。レーベルだ。ワーナー、リプリーズ、アトランティック、ライノなど、どれもワーナー系列のレーベルばかりだ。さらに、パッケージの細かい字の製造時期を見てみると、いずれも2000年代のものという共通点もある。

これらにはきっと何かあるだろうと、ネットで色々検索してみた。しかし、一般的なCCCDに関する情報はみつかるものの、これらのワーナー系列の輸入盤CDに関する情報は見つからない。一体どういう事なのか…

ところで、これは私の個人的な推理が混ざった話なのだが、おそらく最近の大手の中古ショップでは、CCCDのロゴが入った中古CDの製品は店頭に並べる事を自粛している店舗が増えてきたようだ。というのも、私が中古CDを買いに行く時、買おうとする商品がCCCDであるかどうかをチェックするのはすっかり習慣になっている。もしもCCCDだった場合は、そうでないCDに比べて自分なりに価値を割り引いて、買うかどうかを判断するようにしている。リッピングに手間がかかる事がたまにあるからだ。そんな私だが、最近中古CDを買いに行ってCCCDに出くわす事がまあ無いのだ。CCCDが販売されていた2000年代といえばCDのプレスの最盛期だったから、流通したCCCDの数は相当なものがあった筈だと思うのだ。それをこんなにも見かけないという事は、あまりに不自然すぎる。

それとは話が違って、上に挙げたワーナーのCDたちは、どれもパッケージにあのCCCDのロゴが入っていない。パッケージを隅から隅までよく見ても、見つからない。だからきっと、CCCDの販売を自粛している中古CD店ですら見分けがつかず、在庫から除外する事ができずに販売してしまうのではないか。そして私もそれをついつい買ってしまう。そして家に帰っていざリッピングしよう、と思ったら音質がメチャクチャになってガッカリ、という流れがある気がしてならないのだ。

私だって、リッピングしておかしな音になるからといって、すぐに諦めてしまった訳ではない。随分ネットで調べて、評価の高いソフトを色々と使ってみたり、細かい設定をしてリッピングの速度を落としてみたり、ディスクをきれいに洗浄したり、できる限りの手を尽くしてみた。それでもまともにリッピングできないのだ。

はじめのうちは泣き寝入りして、そのまともにリッピングできないCDを、せっかく買ったのにゴミとして捨てたりなどしていた。しかしある時期にこれが連続して起こったので、買った中古CDショップにレシートと商品を持って行き、「これ、リッピングもできないし再生しても変な音になってしまうんですが」とダメもとの気持ちでかけあってみた。疑われたり、店員がチェックするのに時間がかかったり、店のオーディオ機器ではふつうに再生できてしまって追い返されたり、あるいはそれらの結果にならなくても店員からめんどくさい客として嫌われたり、という事は覚悟していた。それでも、あまりにもヒドいじゃないか、という気持ちがどうしても堪えきれず、どんなに嫌な対応をされたって、言いたい事をせめて相手に伝えてやろうと、半ばやぶれかぶれの心理状態だった。

ところがいざお店の人に話をすると、肩透かしを食らったように、丁寧な対応をしてくれた。「パッケージと中身をざっと目視して確認しただけで、「大変申し訳ありませんでした」なんて丁重に、そして心なしかそそくさと急ぐようにお詫びしてくれて、あっという間にレシートをチェックして、拍子抜けするほどあっけなく返金してくれた。

なので、それ以来、そういう中古CDに当たってしまった場合は、私はレシートをちゃんと保管して、日にちが経たないうちに早めにお店に返品するようにしている。

返品するといつも、毎回のお店の対応はあまりにもスムースで、全くこちらを疑うような素振りなどまるで見せずいつもそそくさと急ぐように対応してくれる。疑われたり、抵抗された事など一度もない。だからこそ、ちょっと業界の内側では何かあるんじゃないの?と勘ぐってしまわずにはいられないのだ。

だけれどもまあ、あまり詮索してもよく分かりはしないし、とりあえず中古ショップは返品に応じてくれるので、私としてはひとまずの落としどころとして自分の中で折り合いをつけている。

結局私は何を言いたいのかというと、私の他にも、かつての私みたいにこの「ワーナー系列のリッピング/再生がうまくいかない輸入盤CD」で泣き寝入りしてしまっている人が居るのではないか、と思うのだ。もしそういう人が、なかなか買ったお店の人には言い出せないけどモヤモヤとした気持ちを抱えたままで居るのだとしたら、私のこの話をひとつの参考にして、泣き寝入りをせず、買ったお店に申し出るようにして頂きたい。

ところで、返品できるお店だったらこの様に返品すれば良いのだが、期間限定の催事コーナーみたいな場所で販売されている中古CDを買う場合は、こういう商品に当たってしまっても後日返品に行くことが不可能な場合もある。なのでそういう場合は「ワーナー系列の2000年代製輸入盤」の中古CDを買う時はぜひ忘れないように頭の片隅に置いておいて、買わないようにするか、あるいは買う場合はダメかも知れない、というつもりで、エイヤと買う覚悟が必要だと思う。

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