AmazonのCM、「意味不明」の次は「無理のあるストーリー」

昨年よく流れていた、 AmazonプライムのCM動画が著しく意味不明だった。それは中年夫婦が手作りのお手伝い券をやり取りする様な、まるで理解不能なCMだった。あまりにも意味不明すぎて、かえってそのインパクトによって記憶している人も多いのではないか。

あのAmazonから最近、別の新しいCM動画がよく流れている。それは先進的な暮らしをする忙しいビジネスマンみたいな人が、日常の必需品の買い物をAmazonに発注して済ませたおかげで、時間ができて犬を連れて山登りに出かけて滝を見て気分転換ができた、みたいな話だ。下の動画だ。


この最新のCM動画は前の中年夫婦の出てくる意味不明なCMとは打って変わって、伝えたい意味が分かるものになった。全体的に街の場面も、大自然の中で山道を歩くシーンの景色も、説明的な場面をはっきり写した映像を使っていて分かりやすいものになった。さすがにこの映像を見てを意味不明というのはよほど理解力が無いか意地悪で言っているか、といったところだろう。

各カットのロケーションの街や山も画として綺麗な場所が多くて、前のCMに比べると個人的にはずっと好感が持てる。しかし別の事がどうしても気になってしまう。それはストーリーに無理があり過ぎる事だ。意味はわかりやすいが、話の中身がおかしい。特にパロディとして作っている様子にも見えないのに、おかしな部分だらけだ。

例えばこんな事をツッコミたくなる。

  • 日用品の買い物をネット通販に切り替えたぐらいで節約できた時間と、人里離れた山奥までハイキングに出かける時間とでは、まるで帳尻が合ってないじゃないか
  • 日常に犬と暮らすという癒やしが既にあって、そもそも犬なんか飼っていられる程度の忙しさでありながら、忙しすぎて辛いという雰囲気をあんなに出す人は普通なのか
  • あんな立派で先進的なオフィスで働いて、スマホでタスク管理までしているビジネスマンが、ネット通販の利用を今頃ようやく始めるなんて事があるのか
  • そんなに忙しいビジネスマンなら、納品が不確実なAmazonじゃなくて、もっと納品日時の信頼性が高いネット通販を利用するのではないか

前のCMの時から薄々思い始めていたのだが、AmazonはワザとふつうにCMを作らず、いくらかヘンに作って、それに対するツッコミでバズらせるという、一種の炎上商法に近い事をしているのではないか。そういう疑いの気持ちが一層強くなってしまった。ただ一般的に炎上と言われる場合のように誰かを傷つけたり、人々を不快にさせたりする要素があるという訳ではない。ひょっとすると、Amazon流のボケという線での仮説も自分なりには浮かんできている。「細かすぎて伝わらないボケ」をカマしたコントCMである可能性だ。

実際のところ、CM動画を作った人は、一体どんな発想で作ったのかを聞いてみたい。

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