通関士試験に少しだけラクに合格するには(その2) ─解説本を読んでおく─

実務未経験でなかなか頭に入ってこないよ…

通関士試験者の受験者は、通関実務の経験者ばかりではなく、未経験者も多いのではないだろうか。私も実務未経験だった。

ところが通関士試験はかなり実務的・実践的な部分に踏み込んだ内容の試験だ。なので、実務経験者だけにイメージできるような部分が多いと思う。逆に実務未経験者だと、試験勉強でせっかくテキスト読んでみても、何を言っているのか今ひとつピンと来ない部分がけっこう多いと思う。

受験勉強を始めたばかりの頃の私は、テキストを読んでもすぐには意味が理解できなくて何度も読み返してみてようやく理解できたり、ネットでもう一段階噛み砕いた解説を探す為に時間を取られたり、という事が多かった。

さらに、そこまでしても理解できなかった事もある。仕方なく、イメージができないまま棒のように丸暗記したり、確信が持てないままに自分なりの想像で補ってみたりといったこともたびたびあった。そういう事が積み重なって、受験勉強のストレスとなっていた。

一冊の本に助けられて受験勉強が激変

そんな学習の非効率やもどかしさを何とかしたいとモヤモヤと思い続けていた私は、ある日ついに効果てきめんなちょうど良い本を探し当てた。言うなれば「解説本」だ。

表紙をぱっと見た印象では、よくある通関士受験のテキストの雰囲気に近いのでついスルーしてしまいそうだが、商品説明を読んでみると(実際に中身を読んでも)普通のテキストとは全く種類の事なる本だ。内容は、通関業界の内側や実務の様子を、大きめの字、たくさんのイラスト、分かりやすい言葉遣いで説明してくれている本だ。どちらかというと実務のエキスパート向けではなく、実務の入門者の人や、業界の外に居る人向けに書かれた本だと思う。もちろん、実務経験のある人が読んでも、基本をおさらいできるような内容だと思うし、一事業者からの視点とはまた違って通関業界全体を総合的に俯瞰しているような内容であることから幅広い把握ができると思うので、大いに役に立つものだと思う。

業界の大まかな構図、それぞれの事業者の業務、保税地域などの施設の様子、政策の意図するもの、貿易に参加する各国の利害関係や思惑など、実務未経験の人にでも十分わかるように、それでいてあまり込み入った部分に入り込みすぎず、絶妙なバランスでひと通り総合的に解説をしてくれている。一般的な受験用テキストを読む前に一度読んでおけば、通関業務全般に関してざっくりとした前提知識が頭に入っているおかげで、テキストの内容が格段にイメージしやすくなり、受験勉強のストレスはかなり軽減されるだろう。

テキストを読む前にまず、読むべき本

実は私は、学習がだいぶ進んだ、試験日1ヶ月前ぐらいの時期にこの本を見つけた。今更読んでも遅いんだろうなあ、という気もしたのだが、それでも試験勉強中の気分転換のつもりで買って読んでみた。

予想に反して、その時期ですら、読んでみて大いに効果が得られた。今まで「たぶんこういう事だろう」と自分の想像で埋め合わせていた部分が次々と確認できたり、一般的なテキストには書いていない役立つ知識を補えたりした。まさに「目からウロコ」の感覚を得た。理解がすっきりとクリアになり、読んだあとの学習が劇的にスムースになった。もっと早くにこの本に出会っていたら、と強く思った。存在を知らなかったので仕方が無いが、できる事ならばテキストを読む前に一回、通しで読んでおくのが理想的だと思う。とにかくやさしい本なので読むのにそんなに時間も掛からない。気分が乗っていれば1日・2日程度で読破できてしまう。

著者は、通関士試験の受験指導の第一人者として有名な人だ。長年の指導経験もあって、初学者のニーズが存分に反映されている様だ。

これから学習をスタートする人や、モヤモヤとストレスを感じながら独学している人にはぜひおすすめしたい一冊だ。読む時期が早ければ早いほど、その後の学習がラクになって、効果的だと思う。実務未経験のハンディキャップをかなり軽減できる一冊だ。


改訂2版 「通関士」合格の基礎知識

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