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古臭くないスムース・ジャズの名盤ガイド

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これ本当にスムース・ジャズなの? ジャズの入り口として親しみやすく、BGMとしても心地よい。そんなスムースジャズ。しかし、本当に名盤を教えてくれる場所というものがなかなか無い。 「スムース・ジャズの名盤○選」みたいな記事で紹介された作品を聴いてみると「探している音楽の雰囲気とちょっと違うんだけど…」という事が多くはないか。イメージしていたのは現代的なもの、音質がクリアなものなんだけれど、紹介されているのはなんかそれよりも音が古臭くて時代的になんか古っぽい、みたいな事は「あるある」だ。 なぜそういう事が多いのかというと、そういう記事の多くは、スムース・ジャズのジャンルのど真ん中を捉えているのでなく、「スムース・ジャズのルーツ」だとか「プロト・スムース・ジャズ」というべき作品を紹介してしまっているからだ。そういう作品は、実際に今日のスムース・ジャズ専門ラジオ局などで最もヘビーローテーションでエアプレイされている曲に比べると、やや古い音楽である。 これは趣味のブログ記事に限らずプロの音楽のライターにもよくある事で、「名盤」を紹介しようとする際に、しっかり勉強してありますよ、とついついアピールする心理が働いてしまい、脂の乗った中堅どころよりも、彼らの師匠格にあたる大御所達、ジャンルの開拓者達の作品を紹介しがちなようだ。こういう事はジャズに限らず、ポップスやロックやヒップホップの世界でもよくある。 確かにジャンルの創世記の名盤は音楽シーンに衝撃を与え、フォロワーのミュージシャンを生み出し、ミュージシャンや音楽通の間で崇められてはいる。しかし大体においてサウンド的にはちょっと古い。ジャンル創世記の作品よりも、もう少し時間が経ってからリリースされた作品の方が、ジャンルのサウンドの典型がはっきり確立されてからのものが聴け、「あー、これ!これ!こういうのを聴きたかった! 」と感じられる事が多い。 私たちは「あー、これこれ!」を求めている 多くの人は、スムース・ジャズに関して割と最近の音楽だというイメージを持っていると思う。楽器の音やプロデュースもだいぶ今風で、もちろんサウンドはクリアで、というものだろう。しかし紹介する側はついつい古い作品に遡り過ぎてしまい、フュージョンとか、レア・グルーヴだとか呼ばれる、ちょっと古くて「スムースジ...

公立図書館の音楽CDの収集のしかた

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私は横浜市から東京23区内に引っ越した。東京都は横浜市に比べて色々なインフラが充実していると感じていたが、図書館もそのひとつだ。 我が国の、というか、世界中の社会には貧富の格差がある。 その是非はともかくとして、貧富の格差が確かに存在しているというのがこの社会の現実だ。そういった社会で、図書館は持たざる者が知識を吸収したり、文化に触れたりして、QOLを向上させたり、あるいは学歴や職能を手に入れるために知識を身に着け、上のステージへと這い上がるチャンスを得る場として、貴重な存在だと思う。 東京23区内には図書館の数が多く、蔵書も充実していて、貸し出し・返却もスムースだ。  さらに驚いたのは、CDやDVDを貸し出している事だ。 今や若い世代にはストリーミングやダウンロードが主流であり、CDは少し古いメディアかも知れない。そうではあるものの、CDは少し高めの年齢層の人々であったり、通信料の課金を節約したい人を中心に、もうしばらくは手軽に聴くことのできるメディアとして一定の存在感を持ち続けるだろう。誰もが、図書館に行けばCDによって音の芸術・文化に接する機会が持てる。これは社会にとってとても素晴らしい事だ。 しかしひとつ、残念な事がある。蔵書とするCDの収集のしかたについてだ。名盤や名作と呼ばれる作品の蔵書が少なく、反対に聴く人があまり居ない様な作品が蔵書の多くを占めてしまっている。色々と語弊や表現の不正確さがあるのは承知ながら、あえてわかりやすい言い方をすると「買い付けがセンスが無くてヘタクソ」なのだ。結構な枚数が置いてあるのに、世間で名盤と呼ばれているタイトルが少なく、言い方は悪いが駄作ばかりが集まっている状態なのだ。 私は出かける時に、付近に公立図書館があれば覗いてみる。そうやって今までにかなりの数の図書館を見てきた。今の所、CDコーナーの棚が名盤・名作でガッチリ固められているとか、そこまで行かなくても、ある程度妥当性のある蔵書のラインナップだと感じられるような図書館は一件も見つかっていない。 私はかつて輸入盤CDの大手の卸売事業者でマーケティングの仕事をしていたのでこの辺りの商品知識はそれなりに確かだと思う。 公立図書館として、CDの収集に同じ予算を使うならば、できるだけ多くの人の関心に応えられるように、あるいは多くの人に名作の良さを感じてもらえたり、学問や...

BGMに適した音楽のジャンルは?

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私が思うBGMに最適な音楽ジャンル 私は音楽が全般的に好きだ。様々なジャンルの音楽を聴く。ヒットチャートで上位にランキングするメジャーなものからマイナーレーベルのアンダーグラウンドなものまであれこれ聴く。英・米・豪・加の音楽が中心だが、それ以外の国の、いわゆるワールド・ミュージックも聴く。そして、家に居る時も、移動中も、何か映像を見ている時以外は何らかBGMが無いと物足りなく感じて、何かしらのBGMを流している。 そんな私は家で勉強したり家で仕事の事務作業をする時間がふつうのサラリーマンに比べて多めである。そういう時はなおのこと、BGMが欠かせない。もともと私はBGMなんか流すと集中できないからダメだなんて事を大人たちから言われて育ってきた。始めは私もそう信じていたが、今では実際にはそうではない事が分かっている。逆にBGMが無いと、部屋の外や上の階からのノイズが気になってしまう時が多い。どういうBGMかにもよるが、音楽の内容や音量を適切にすれば精神的に安定して仕事や勉強が進むという事に気付いた。その音楽の内容としてどんなものが良いかというと、私にとってはスムースジャズが今のところベストだ。これはきっと、私だけでなく、ほかの多くの人にも勧められると思う。 私はこの結論にたどり着くまでに、様々なジャンルの音楽を試して試行錯誤してみた。スムースジャズに近い傾向のジャンルとして、軽めのポップスだとか、ビバップのジャズだとか、クラシックだとかも試してみた。この辺りのジャンルと比較しても、スムースジャズがよりBGMに適していると思う。逆に、スムースジャズを試してから他のジャンルを試すと、いまひとつスムースジャズにはかなわない気がして、やはりスムース・ジャズが適していると再認識してしまう。 それではスムースジャズのどんな所が、他のジャンルと比べて良いのか。  まず、インストゥルメンタルである点だ。ヴォーカルものは総じてあまりBGMに適していない様に感じる。どうしても無意識に歌詞を聴こうとしてしまったり、歌メロを追いかけてしまうのがやめられない。いきおい、肝心の勉強や事務作業に向けたいはずの集中力が音楽の方にも向かってしてしまう。 その点で、ジャズやクラシックといったジャンルは全般的にインストものが多いので、BGMに適していると思う。さらに、アコースティック楽器が中心で音質...