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7月, 2015の投稿を表示しています

ビジネスにちょうどいいG-SHOCK GW-6900-1JF

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ビジネス用の時計にG-SHOCKのGW-6900-1JFを使い始めてから、もう9年ぐらいになる。機能に不満はないし、飽きもしない。壊れない限り、まだまだ使おうと思う。    社会人になって約20年だが、これほど長く使い続けた腕時計は無い。オメガやロンジンやティソなども使ってみた事はある。それらもいい時計だったが、こんなに長くは使わなかった。このG-Shockの使いやすさにはかなわない。そしてこの時計を9年間仕事用に使った今なお、別の時計に買い替えたいなんて気が起こらない。 今はだれでも、正確な時計機能を持つスマホを持ち歩いている。それでもなお腕時計はビジネスアイテムとして、あるいはビジネスウェアの一部として、人々の関心を集めている。たくさんお金が稼げるようになったからいい腕時計を買おう、という声をよく聞く。しかし高級なものさえ身につければ良いという事はなく、注意も必要だ。ビジネスの内容や業界にもよるが、あまりに高価で目立つ腕時計をしている事が、かえって成金趣味的であったり、荒稼ぎをしている様に見えてしまったりして、胡散臭さや信頼感のダウンにつながってしまう場合もある。 そんな事を考えても、G-SHOCKは無難なもののひとつだ。価格的にもほどほどだし、機能性を重視した時計を身に着けるというのは、質実剛健で堅実に思え、むしろ好印象だという見方をされる場合もある。だからといって、チープ過ぎてみすぼらしいという事もない。 私が社会人になりたての20年位前は、G-SHOCKはカジュアル過ぎるので、ビジネスで身に着けてはダメ、みたいに言われる事も少なくなかった。しかしそれから時が経ち、世の中は変わった。日本のビジネスウェアは全体的にカジュアル化が進んだ。そして、G-SHOCKを愛用したりコレクションしたりしてきた世代の人々が会社の重要なポジションに就く時代になってきた。今ではもう、20年程前のようにビジネスでのG-SHOCKがダメだなんて話も聞かなくなった。そういう会社もあるのかも知れないが、今ではもう珍しいぐらいの少数派だろう。 そして何より実用品としてのスペックの高さが魅力だ。耐衝撃、防水というタフな仕様に、電波ソーラーという極上な正確性とメンテナンスフリーの要素も加わった。ガンガン使えて、ほったらかしで電池切れにならず、いつでも時刻は正確。暗い場所では...

すっかり手放せないピットレック

 今更の話だが、キングジムの「ピットレック」というガジェットがある。それを1年以上使って、すっかり手放せなくなった。とても便利だと思っている。 ピットレックとは、私がひとことで言い表すならば「デジタル名刺入れ」である。今メーカーのサイトを調べてみたら、「デジタル名刺ホルダー」と書いてあった。どちらでも大した違いは無いだろう。  欲しいと思ったのは、ごくシンプルな理由からだ。メールを送りたい、電話をかけたい、と思った時に、名刺をガサゴソと探して連絡先を調べる。その時間が無駄だと感じたのだ。  私は従来、名刺はボックス型の名刺入れに入れて管理していた。なんとなくそうしていた訳ではない。その方法が総合的にベストだと思っていたのだ。  私の職場では、名刺管理の方法に大きな2つの主流があった。ポケット式の名刺ファイルか、ボックス式の名刺入れである。私は後者だった。名刺が増えても簡単に放り込むだけで済むし、容積的にもコンパクトで済むボックス式の名刺入れの方が合理的だと思ったのだ。ボックスに付いていたタブを使って、会社名ごとに「あ行」「か行」「さ行」…と分類して保管していた。  しかし、名刺が増えていくと、「あ行」の社名の中だけでも探すのに時間が掛かる様になる。かと言って、2文字目以降も五十音順に並べるのでは神経を使い過ぎる。ある時期、ローロデックスが欲しいと思ったりもしたが、上司の机の上に3台並べられてスペースを占領しているのを見たらドン引きした。自分もすぐにああなる。そしてさらに名刺は増え続ける。  ピットレックを初めて見つけた時、まずはとても気になった。しかし、2万円近くする価格に、なかなか買う決心はできなかった。筆者は貧乏だし、ケチなのだ。筆者がピットレックを買った頃は、既にスマホが普及していた。筆者もスマホを使っていた。そこで数百円程度で手に入れられる、同様の機能のスマホアプリで代用できないかと思ってよく比較し、吟味してみたのだ。それにスマホアプリで済むならば、持ち歩くガジェットを増やさなくて済む。しかし、随分と吟味を重ねたのち、最終的にピットレックを買うことになった。  買う決め手になったのは、とても名刺を読み取る作業がとても楽チンであった事だ。決められた溝に名刺をスチャッと挟んで、撮影ポタンをポ...

中小企業のIT経営  森戸裕一

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中小企業のIT経営  森戸裕一  日経BPソフトプレス 2006  まさしく現状にマッチしたタイトルの一冊だ。中小企業の経営者に向けて書枯れたIT導入の勧めと、その注意点について書かれている。後半には成功事例のケーススタディが掲載されている。  基本的にはITの活用を勧める立場で書かれていながらも、導入の目的の明確化の必要性や、最低限のコストでの導入の勧めなど、手堅い内容はタイトル通り中小企業の現実によくマッチした良心的な内容だと、中小企業に勤めている現在、身にしみて感じられる。  中小企業に限らず規模の大きな企業でも、ITに関連する業務の担当者には参考となる一冊ではないだろうか。 人と組織が動く中小企業のIT経営―限られた資源を有効活用するために [単行本] / 森戸 裕一...

自分の考えをまとめる技術  奥村隆一

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自分の考えをまとめる技術  奥村隆一  中経出版  2006  先日社内の研修で「人間は手を動かして何かを書きながら考えると考えを深められる」という事を教わった。その時に書く物のひとつに、図というものもあるのではないかと思っていた所、売り場でちょうど良い本を見つけた気がして、読んでみた。  この本の著者は、ビジネスパーソンは問題解決が効率的にできれば仕事全体の中でも大きな部分の効率化を実現する事ができると指摘し、問題解決には現状の的確な把握と対策方法の検討という二つのプロセスがあると言っている。そして、その2つのプロセスにツリー図、ベン図、マトリックス、点グラフ、フロー図の5つのうちのどれかを適切に活用できる様になれば、ほぼ全ての問題に関して十分だと言っている。本当にこの5つで十分なのかがよく分からず不安もあるが、それ以前にこの5つを意識的に、的確に使いこなせているレベルでもないので、まずは地道にこの5つを使いこなせる様になってみようと思う。  登場する問題の例、その解決の例については、実際に場面が目の前に浮かんで来るような、現実味のある例ばかりであり、そして現状分析とその解決のメカニズムも明快で、納得できるものばかりである。ただ、著者はバリバリの優秀なコンサルタントであり、自分が問題解決に挑戦したところで同様の分析を経て、同じ手法の問題解決を思いつくか、という部分に大きな不安が残る。残念ながらこの本にはそのノウハウについての記述がなく、そのための勉強がさらに必要なのではないか、と感じた。  とは言うものの、全体的には、非常に無駄なく簡潔に書いてありながらも、内容が濃く、分り易いよい本であったと思う。ぜひ、問題解決のノウハウについてはこの先掘り下げてみたい。 自分の考えをまとめる技術―5つの図で整理する [単行本] / 奥村 隆一 (著); 中経出版 (刊)

リーダーシップでいちばん大切なこと  酒井穣 

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リーダーシップでいちばん大切なこと  酒井穣  日本能率協会マネジメントセンター  2011  また勤務先の取締役の著書だ。  リーダーシップに関する本を読んだのは初めてだった。他の人のレビューなどを読むと、リーダーシップに関する従来の本にはきっと書かれていない様な内容が書かれているのではないだろうか。  リーダーとは、文字通り考えればリードする者だ。どこかのリーダーに付いていく者は、フォロワーだ。そして、フォロワーの数が多くとも少なくともリーダーはリーダーであり、画家のゴッホのように生前はフォロワーが全く居なくても、死後に多くのフォロワーを生むことがある。そういうリーダーも居るという。自らリーダーになる事を選択すれば誰でもリーダーになれる、という事が書いてある。  これまでに誰からも聞いたことのない、非常に斬新な視点であった様に感じたが、だからと言って奇をてらった様な違和感は感じず、内容にとても納得できた。元気の出る一冊だ。 リーダーシップでいちばん大切なこと [単行本] / 酒井 穣 (著); 日本能率協会マネジメン...

これからの思考の教科書  酒井穣

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これからの思考の教科書  酒井穣  ビジネス社  2010  また勤務先の取締役の本だ。  これからのビジネスパーソンには、ロジカル・シンキング、ラテラル・シンキング、インテグレーティブ・シンキングの3つの思考法が必要だと書いてある。そして、それらについての解説がある。  つい最近、ロジカル・シンキングについて日経文庫の本を読み、会社の研修に参加し、なんとかモノにしたいとあれこれやっている所に、さらにもう2つもの思考法が必要だと言うから、いい歳になるまで勉強をサボってしまった私にとってはもうパニック寸前である。  しかし、読んでみると非常に分り易い。特に、ラテラル・シンキングというのは、ある一定以上の役職を目指すには本当に欠かせないものなのではないだろうか。多くの会社では、職位が低いうちは手順や方法などがだいぶ決められ、一位の範囲で忠実に、正確に、仕事をこなしていく事が多いだろうから、ロジカル・シンキングが役立ちそうだ。しかし職位が高くなるに従って、手順や方法などについての裁量は増えていき、ある程度まで行くと、目標に到達するまでの過程については自由になる。そこで業績を飛躍的に高めるには、ラテラル・シンキングが必要になってくる、という事は自然ななりゆきとして想像できる。  非常にありがたい本だ。ぜひとも、3つの思考法を意識していこうと思う。 これからの思考の教科書 ~論理、直感、統合ー現場に必要な3つの考え方~ [単行本(ソフトカバー...

「日本で最も人材を育成する会社」のテキスト

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「 日本で最も人材を育成する会 社」のテキスト  酒井穣  光文社  2010  人材育成の分野で著名な、私の勤務先の取締役の著書だ。  企業の人材育成の担当者に向けられた本であり、社内での人材育成プログラムと、その背景となる理論の説明が詳しく書かれている。  非常に数多くの文献や研究結果が理論の裏付けとして凝縮されており、これ程濃く、重い内容の新書は今までに読んだ事がない。  人材育成の担当者でなくとも、自分自身が学びたい、あるいは自分自身の学びをより効果的なものにしていきたい、と考える人に取っては、有意義な内容ではないかと思う。私自身の場合は、ただなんとなく、やみくもに近い状態で勉強をしているような状況であったが、この本を読む事で、学びにおける自分の現状について客観的に考えるきっかけを得られた。また、学びに関する行動を今後具体的にどうしていくべきなのか、といった事を考える事ができた。 「日本で最も人材を育成する会社」のテキスト (光文社新書) [新書] / 酒井穣 (著); 光...

自分がいなくてもまわるチームをつくろう!

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自分がいなくてもまわるチームをつくろう!  山口 正人 豊田 圭一  アスカビジネス  2008 "Management by Absence(不在による経営/不在のマネジメント)"というものがあり、アウトドア用品で有名な米Patagonia社などがその成功例であるらしい(この本では言及していないが)。  著者ご自身も2つの会社を経営し、さらにもう1社の取締役をされているという事で、まさに成功例でもある。マニュアルを活用せよ、役割分担をしっかりせよ、など、至極当たり前(と言いながら自分自身できてはいないが)な教えの他に、「仕事だけでなく自分の人生の目標設定をしっかりせよ」という事が印象深かかった。なぜそれが必要か、という事についての説明も非常に力強さを感じた。  全般的に自分に苦手な事、できていない事が書いてあり、終始耳の痛い思いであったが、やはりそれだけに読んでよかったのだろう。 自分がいなくてもまわるチームをつくろう! (アスカビジネス) [単行本(ソフトカバー)] / ...

「心理戦」で絶対に負けない本 実践編(文庫)

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「心理戦」で絶対に負けない本 実践編(文庫)  伊藤明・内藤誼人  アスペクト  会社の業務で大きなプロジェクトの交渉や調整を控えている。非常にしたたかな連中を相手にしなければならないハードな業務ではあるが、最近は経験を積んだ為か、多少要領も分かってきて、大概の事は慌てずに対処できる様になってきた。しかし、慣れないうちは相当な苦労を経験したため、今でも多少の不安はある。  ちょうど苦労している頃、一冊の本に出会い、まさに「目から鱗」の新しい考え方を学び、ずいぶんと精神的に楽になったものだ。それがこの本だ。 「人たらし」のブラック心理術―初対面で100%好感を持たせる方法 [単行本] / 内藤 誼人 ...  以来、すっかり著者である内藤誼人氏のファンになってしまった。著書を数冊読んでみたが、読むと有用な知識と共に、自分もやって行けそうだという、なんとも言えない勇気や安心が得られる。プロジェクトを控えた今、なんとなくそんな感覚が欲しくてまた読んでみた。  以前に読んだ著書と重複する内容もあるが、それらは復習のつもりで読んだ。  以前読んだ著書には登場していない事で、ポイントに感じたのは以下の2点だ。 ・ヒューリスティックというものについて ・プロセス・ロスというものについて  むろん、これらをプロジェクトの関係者から消し去る事などできないのだが、こういった存在を意識する事によって、作戦が立てられる様になるだろう。 「心理戦」で絶対に負けない本 実戦編(文庫) [文庫] / 伊東 明, 内藤 誼人 (著); ...

すぐに役立つ電話英会話

すぐに役立つ電話英会話  トミー植松  ジャパンタイムズ  1986  担当業務の中で英語を使う機会がない者にとって、英会話の腕を試せる数少ない貴重なチャンスの殆どが電話からやって来る。そんな事はないだろうか。  例えば何気なく会社の外線電話に応答したら先方が英語で話し始めた、携帯電話に出たら外国人のヘッドハンターだった、という事は、そう滅多にはないながらも、道端に居て英語で道を尋ねられる機会よりは多いという気がしている。  しかし、そんな電話に応答する時に、何を言って良いか分からず焦ってしまう。  例えば、日本語で電話に応答したとき、仮に 「私が何をして差し上げられるでしょうか」 と言ったとしたら、通じない事も無いだろうが、ちょっとした違和感があるだろう。 「どういったご用件でしょうか」 と言えば、そのほうがよほど聴き慣れていて自然だ。  英語も同様で、いわば決まり文句の様な、日常の言い回しというものがあるはずだ、という事に気づいてはいたが、それらを覚えるための勉強をしていなかった。その為、いざ電話が掛かってきたときには、なんと言って応答したら良いか分からず、これまでの自分はただただ焦っていたのだ。  この本は、まさにその様な日常の言い回しを数多く取り上げている。こんな場合なんと言うのだろう、と以前から気になったままの場面場面に相応しい台詞のいくつかを、効率よく明らかにする事ができた。  子供向けでなく大人向けの本であり、ビジネスシーンの会話が内容の中心だ。しかし、TOEIC600ぐらいの英語力があれば、辞書を参照する事なく簡単に意味が理解でき、どんどん読み進む事できる。また、英会話が全て左側のページに、和訳が右側のページにまとめられてる構成も非常に読みやすい。  発売が1986年で、バーコードすら印刷されていない古い本だが、収録されている例文の大半は今日のビジネス英会話でも十分生かせるだろう。 すぐに役立つ電話英会話―決まり文句で覚える [新書] / トミー植松 (著); ジャパンタイム...

同じテーブルの10人の名前、簡単に覚えられます。

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同じテーブルの10人の名前、簡単に覚えられます。  川島隆太  三笠書房  2005  1999年に米国で発売された本を東北大学の川島教授が訳し、オリジナルのコンテンツを少し足した本のようだ。  「『記憶力』が面白いほどつく本」という副題がついている。入門者向けに、記憶の仕組み、記憶に関する研究結果や実例、記憶力を高める方法などがやさしく書いてある。記憶力を高める方法というのは、記憶力を増強するトレーニング方法などではなく、ちょっとした知恵や工夫、そして生活習慣といった、あまり難しくない内容にとどまっている。  非常にやさしく書かれており、あまり引っかかる部分も無かったので、一度読み終えた時点では正直なところ物足りず、内容の印象が薄かった。そのため、もう一度本全体をパラパラと流し読みしてみた所、実は記憶に関する有用そうな基本的事項が数多く書いてある事に気づき、そのまま2回目も結構しっかり読んでしまった。  強烈なキー・ワードを全面に押し出した、いかにもインパクトのある様なタイプの本に比べれば地味な印象があるが、記憶の分野の入門者にとっては、読んで時間を損する本ではないと思う。個人的には、記憶についてもう少し詳しく知りたい、と思うきっかけに十分なった。 同じテーブルの10人の名前、簡単に覚えられます。―「記憶力」が面白いほどつく本 [単行本] /...

eメールの達人になる

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eメールの達人になる  村上龍  集英社新書  2001  有名作家がいかにツールとして役立ち、楽しめるeメールを書くかのヒントを紹介している。  そう言えばeメールの書き方をしっかり習った事がなかった。  もう10年以上も前の事だが、勤めていた会社のマナー研修では、「まだeメールは新しいので、これと言ってマナーが確立されていない」という様な事が言われ、ほぼ素通りに近い扱いだった事を覚えている。  そこで現在の状況が気になり、まずはwebでざっくり調べてみた所、全体の構成や言葉遣いなど、tip集のようなものがいくらか公開されているものの、10年前とさほど変わっていないな、という印象だった。  かつて「新しいもの」と言われてから10年あまり、eメールのマナーに大きな変化はなく、多くの人はビジネスのコミュニケーションのためのeメールを定型化されたフォームに特に縛られたりもせず、思い思いに書いているのだと思う。それだけに、固い職場のサラリーマンがクリエイティブな作家を真似て仕事上ののeメールを書いたところで、何の問題も無いばかりか、むしろコミュニケーション術に長けたeメールで受信者の心を動かし、ビジネスの良好な展開の助けとなるのではないだろうか。  著者が日常にやり取りする実物のeメールをサンプルとして掲載してあるので、eメールのノウハウだけでなく、有名作家の仕事の仕方というものも覗く事ができる。また、著者の交友関係にも触れられているので、ファンにとっては嬉しい内容なのではないだろうか。  ちなみに、この本自体は、約10年前に発売されたものである eメールの達人になる [新書] / 村上 龍 (著); 集英社 (刊)

Big Fat Cat GOES TO TOWN

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Big Fat Cat GOES TO TOWN  向山 貴彦  幻冬舎  2003  不動産開発により経営する店を追い出された若きパイ焼き職人が、店に住み着いた太った猫と一緒にあてもなく歩いて出かける。偶然にも理想的な空き店舗を見つけ、賃借契約のあと一歩まできたところで...という所で終わる。英語で書かれた小説シリーズの一部だ。英語の小説の本文に続いて、日本語での文法の解説が続く。自分の学習の進度を考えると、もう少し難しい内容の方が合っていたと思う。しかし、物語の内容が面白く、文法の解説もに富んでおり、学習の進度と合致していれば、良い教材ではないかと思う。 Big Fat Cat GOES TO TOWN [単行本(ソフトカバー)] / 向山 貴彦 ...

日本語の作文技術 本多勝一

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日本語の作文技術  本多勝一  朝日新聞社出版局  1982  タイトルそのままの本だ。あまりにも的確で無駄がないこのタイトルが、著者の感覚の鋭さを既に表現している。  私は少し前に英語の勉強を再開したのだが、英語は日本語と違って厳密で理論的でなんか面白いなあ、なんて事を感じていた。しかしそんな事を仮に著者の前でポロっと言ってしまったら一喝されること間違いなしだろう。  もともと日本語が非理論的な言語という事はない。英語が理論的な言語なのでもない。それぞれの言語の使い手が、理論的な発想をもってその言語を使う習慣があるかどうかの違いなのだ。これは気付かされると同時に激しく納得した。  作文技術の説明についても非常に分かりやすく、理解して覚えておく事が大いに有益に感じられる。あまりの説明の見事さに、読みながら自然と顔が笑い顔になってしまうのを何度も感じた。  具体的には、 ・長い一文をどのような語順で組み立てると読みやすいか ・句点をどのように打つと読みやすいか ・漢字とかなの混じりをどのように調節すると読みやすいか ・語尾はどの様に結ぶと読みやすいか  といった事がこの本によって分かる。私自身が普段あまり意識をせず文章を書いていなかったので、これらを覚えて実践しただけで作文技術の向上を実感する事ができた。自分の書いた文章を読み返すと見違える様だ。  後半部分はがんこオヤジっぽくて正直読みやすくはない。必ずしも通説とは言い難い著者の意見なので、実践的な技術にのみ関心のある事は無理に読まなくても良いかもしれない。私はなんとなくそんながんこな著者に親しみを感じてしまい読んでしまった。  後半の部分はさておき、とにかく前半の部分は重要な事が書いてあるので必読すべきと言いたくなる。価値のある本多。ではなくて本だ。

図解サプライチェーンマネジメント

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図解サプライチェーンマネジメント  SCM研究会  日本実業出版社 1999  SCM(ソフトウェアだけでなく)の基本的な知識が一通りまんべんなく学べる。本文の日本語表現も分かりやすく、図解もシンプルで分かりやすいので、初心者でも苦労少なく読み進む事ができる。10年以上前に発売された本であるが、テクノロジーが内容の中心ではなく、SCMの発展の歴史や考え方が中心なので、今読んでも十分有用なコンテンツがほとんどだ。完全な初心者にとっては難し過ぎる内容も3割~4割程混ざっているが、取り掛かりには適した本だと言えると思う。A5版のソフトカバーで約230ページ、携帯性は△。

最強集団 ホットグループ 奇跡の法則

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最強集団 ホットグループ 奇跡の法則   ジーン・リップマン・ブルーメン/ハロルド・J・レヴィット  東洋経済新報社  2007  ホットグループとは、組織の形態ではなく、メンバー達がミッション達成の為に燃え上がっているひとつの心のあり方だと言っている。そして「どうしてあんなことができたのだろう」といつまでも懐かしい思い出として残るのだそうだ。  非常にわかりやすく、想像できる話だ。自分にもそんなホットグループの経験があっただろうか。思い出すことができないのは、おそらく経験していないせいだろう。  せっかく仕事をしているのだから、どうにかしてそれ程までの経験を一度や二度はしてみたい。しないで終われば、それこそ自分にとっては一生が無駄だ。是か非でもしなければならない。  冒険小説よりも興奮するビジネス書だ。これまでに読んだ本の中で一ニを争う衝撃だった。これから自分が仕事のモチベーションにすべき物を教えてくれた。  しかし単に面白おかしく書いてある本ではない。米国のMBAのテキストにも採用されていると言われるだけあり、それなりの調査が元になっている。著者は経営学の神様、あのピーター・ドラッカー氏のお弟子さんだそうだ。

はじめてのプロジェクトマネジメント12のステップ

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はじめてのプロジェクトマネジメント12のステップ ゲイリー・R.ヘーケンス  ディスカヴァー・クリエイティブ 2004  物騒な喩えで不適切かも知れないが、多くのPMの入門書には格闘技の技の種類や技のフォームについて書いてある。この本にはケンカで勝つ方法が書いてある。  突然ふっかけられたケンカに、万全の準備で応戦できるとは限らない。そこが力の入るフォームで技を繰り出せる足場だとは限らない。周りのギャラリーが自分に友好的とは限らない。ケンカから逃れて勝負しない方が生き延びる為に懸命な選択かも知れない。   まさに自分の初めてのプロジェクトマネジメントにも役立ったのではないかと考えられる内容だ。この本には、詳しいガント・チャートの書き方も、PMBOKの解説も載っていない。かわりに、よほど条件の揃った幸運な環境でない限り、たいがいの仕事場ではそれらの高度で緻密な手順の知識通りに再現する事はまず不可能だという教訓なら読み取れる。そして、個々人の利害が入り組んだ会社という場所で現実的に役立つ動き方を指南してくれる。  内容は易しく書いてあるが、読み飛ばする事のできないリアルな内容が終始詰まっており、ずっしり重い読み応えがあった。  古書で購入したが、残念ながら絶版らしい。新品は入手困難の様だが、古書は多く流通している様だ。

英会話が耳でスラスラわかる本

英会話が耳でスラスラわかる本  ジェームス・M・バーダマン  中経出版  1995 どうもネイティヴ・スピーカーの話が聴き取れないと思っていたら、やはり、というか、結局彼らは辞書に書いてある通りに正しく発音していないのである。薄々感じてはいたが、実際そういう事だったのがこの際はっきりしてしまった。ヤンキー達に一本取られた。 expand »  この本はそういった実際の日常会話におけるある種の音便化の様な発音の変化や、単語の省略について読者に知識を与え、聴き取る力を与えようという本なのだ。  日本語で言うなら、「お疲れっす、てかきの、ほんすんませんした(お疲れ様です。[なん]ていうか昨日[は]、ほんと[うに] すみませんでした)」という様な感じで、使用頻度の高いサンプルを一冊の本になるぐらい集めて、それらにひとつひとつ説明を書いてある。  すぐに全てを暗記するのは難しいと思うが、収穫として大きかったのは、発音の変化や単語の省略といった事が行われる、という事実が分かった事だった。  これぞ欲しかった種類の本だ。これまでにも同種の本を見かけていればきっと飛びついていた気がするのだが、見かけた事がなかった。ちなみにこの本自体は1995年発行であり、新しくはない。しかもブックオフの¥105売り場で見つけた。自分は不思議の国で生きているのか。  これまで、 ネイティヴ・スピーカー の会話を聴くときに、聞き取りにくい部分、聞き取れなかった部分の存在というのは非常に苦痛であり、苦手に感じていた。しかし今後はその様な部分について、知っている単語の音の変化を想像してみたり、発音の変化や省略を考えたりする事が楽しくなりそうである。 英会話が耳でスラスラわかる本―アメリカ人はこう発音します! [単行本] / ジェームス・M. ...

追われ者

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追われ者   松島 庸    東洋経済新報社  2002  主人公が強大な敵と絶望的な死闘を繰り広げ、果てに破滅に向かって行くストーリーというのはヒット作の中でも実に多い。なぜにそんなストーリーは人を魅了し、感情を強く揺さぶるのだろうか。 本書も、そんなストーリーのひとつである。 expand »  かつて日米で株式上場を果たしたITベンチャー企業の若き経営者であった著者が数々の判断を誤り、周囲の人々の悪意、そして裏切りにより経営者の座を追われるまでを自ら振り返って綴った本だ。  一方の当事者からの視点であるものの、著者が言うとおり、倫理や世間の評判などといった事に全く関心がなく、唯々金銭や地位にのみ執着し、その為に嘘をつき、約束を破り、人を罠に嵌める事を全く躊躇しないという価値観を持った会社や個人というものは確かに存在している。本書に登場する筋のひとつに私も仕事上接点を持った経験がある。  著者は自身の数々の判断の誤りを告白しながら、そうした企業や個人の行動を観察して思惑を分析し、後悔の念や替わりに取るべきであった行動も記している。非常にショッキングでありながらおそらくは事実をとらえ、核心を突いているであろう。多くの人間にとってそれらは重要な教えではないだろうか。  残念ながら著者は経営者としては失敗してしまった。しかし、経営者として挑戦し、会社を守る為に闘い、本書を発行された勇気に大いに敬意を表すると共に、非常に大事な教訓を伝えて下さった事に深く感謝したい。読み終えて敬虔な気持ちにならずにはいられなかった。  300ページをゆうに超える厚さであったが、一気に読み終えてしまった。そしてしばらく呆然となった。いまだかつて一冊の本を読み終えてこれ程疲れたことが無いほど、色々な思いで疲れてしまった。しかし、多くの人に薦めたい一冊だ。

残業しない技術

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残業しない技術  梅森 浩一  扶桑社  2004  確かに役に立つ内容も書いてあると感じた。しかし、職場の全員が著者と同じ行動を取ってしまうと組織全体の稼働効率が下がってしまうのではないかと思われる内容もある。「成果主義時代なので目立つように仕事をいったん引き受けてすぐに下請けに出す(同僚にやらせる)」「他人の電話が鳴っていても出ない」などである。そこは実践する為の知識という事ではなく、そういう考え方の人も職場に存在するものなのだという知識としておこうと思う。  内容的には少なく、1時間程で読める本だ。 残業しない技術 扶桑社 梅森 浩一 Amazonアソシエイト by

山田真哉のつまみ食い新会社法

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山田真哉のつまみ食い新会社法   山田真哉  青春出版社  2005  ページ数が少なく、文字も少なく、シンプルな図解が殆どで、もはやパンフレットと言っても差支えない様な本である。会社の設立・運営・配当に関する基本的な要点だけを1時間程度で理解できる。2006年施行の直前に書かれた本なので全体的に有限会社と会社法の株式会社・合同会社の違いを説明している。現在ならば有限会社の説明はそれほど多くなくてよいだろうと感じる。法務の分野に関しては実用性の高い部分から大局的に概要を把握しながら勉強して行こうと思っているのだが、その勉強法にマッチした本であった。 山田真哉のつまみ食い新会社法 青春出版社 山田 真哉 Amazonアソシエイト by

すごい会議

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すごい会議 大橋禅太郎 大和書房 2005  会議のノウハウの本だ。100ページ少々という薄い部類の本で、しかも半分近くは著者の経歴の紹介である。それにも拘わらず、会議の重要なポイントが十分に示されている。  会議の内容はもちろんだが、著者の行動力にあふれる生き方についても学べる。  最近ブログに記した自分の考えと共通する事がいくつか書かれており、考え方の妥当性が確認できた事が喜びに繋がった。  読み物としても非常に面白く、 ビジネスを題材にした純エンタテインメントの小説でも、ここまでエキサイティングな内容のものを作る事は難しいのではないだろうかと感じる程であった。 すごい会議-短期間で会社が劇的に変わる! 大和書房 大橋 禅太郎 Amazonアソシエイト by

あなたにもできる会社設立の本 改訂版

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あなたにもできる会社設立の本 改訂版 福山ゆみこ  フォレスト出版 2005 ━会社設立手続きの作業manual━  これぞ実用書である。  自らを「ふつうの主婦」と呼ぶ著者が、夫と二人だけで会社を設立したときの経験を基に、設立手続きの方法と手順についてだけ、まるで作業manualの様に書いてある。あくまで手続担当者からの視点からのみ書いてあり、行政側から見た法的な論理などには始めから触れようとすらしていない。  ともあれ、難解すぎる本に遭遇するよりは遥かに目的に近かったので大きな不満は無かった。これで会社設立時の一本の時間の軸のimageは出来上がった。あとはもう少し詳しい本なりで枝葉となる知識を付けて行けば良いだろう。 あなたにもできる 会社設立の本 フォレスト出版 福山 ゆみこ Amazonアソシエイト by

職場の「かんばん方式」

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職場の「かんばん方式」  松井純一  日経BP社 2006  トヨタの工場で採用されている「かんばん方式」をホワイトカラーの業務に適用するために発展させた「ストア方式」というものについて書かれた本だ。「かんばん方式」「ストア方式」の両方についておそらく概要は網羅されていると思われる。  大型の工場で生まれた「かんばん方式」がベースになっているだけに「ストア方式」も仕組み全体を導入するにはどちらかというと大規模でroutineの多い職が向いていると思われる。どの職場で導入に向いているというわけではなさそうだ。  しかし、そこにあるいくつかの考え方についてはより多くの職場への汎用性が感じられた。以下の点については特に記憶に残しておきたいと思った。 ・顧客にとって価値のある作業と、組織にとって有効な作業を分類する ・即席で改善のためにいつでもすぐに動ける人づくりをす ・「スイッチングロス」を減らす様に工夫する  参考までにAmazonのカスタマーレビューを見てみたところ、評判の良い本ではなかった。たしかに、読みやすい言葉づかいでなかったり、結論を述べた後の事例の紹介や補足説明が冗長であったりする部分が気にはなった。しかしそれは読み手が工夫して読み飛ばしてしまうなどすれば済む程度の事だと思われる。含まれている情報の量や範囲については、ほど良い具合だと感じた。 職場の「かんばん方式」トヨタ流改善術ストア管理 日経BP社 松井 順一 Amazonアソシエイト by

プレイン・イングリッシュのすすめ

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プレイン・イングリッシュのすすめ ケリー伊藤 講談社現代新書 1994  読んでみたらタイトルの「プレイン」は"playin'"ではなく"plain"だった。タイトルの通り平易な英語を使う事を薦め、そのコツを示した本だ。 。英語初心者の日本人が日本語で発想したものを英訳するという手順を経ると、その表現は冗長になりネイティヴ・スピーカーにとっては不自然な言い回しになる事がよくある。  また、難しい言葉、格調高い言い回しを使う事は、特に昔はネイティブ・スピーカーの間でも尊敬を集める場合があって、日本人の英語学習者がそこに傾倒してしまう例もあるらしい。  しかし実際的なコミュニケーションではプレイン・イングリッシュに利便性がある事を著者が実例を示して指摘してい る。さらに、特にメディアや政治の分野など、実務の世界でも平易で意図が伝わりやすい表現の研究が実際に進んでいるというから、それを習得しようと思わずには居られない。  それらのコツの説明は非常に分かりやすく、同時に英語に限定されず全ての言語であてはまると考えられるものも多い。自分自身も、作文をするときは本書を思い出して日本語・英語を問わず平易な文章を心掛けたい。 (この書評は過去に書き溜めておいたものをリニューアルしてブログに初めて掲載したものです) プレイン・イングリッシュのすすめ (講談社現代新書) 講談社 ケリー伊藤 Amazonアソシエイト by

パワーロジック

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パワーロジック 内藤 誼人 ソフトバンククリエイティブ 2005  コミュニケーションの中の、説得についてフォーカスしたノウハウの本である。  顧客に対してプレゼンテーションを行う場面や、職場内で部下に何かを頼む場面など、ビジネスの様々なシーンを幅広く取り上げている。そういった様々な場面で説得の成功率を高める、心理学を応用したテクニックについて、幅広く伝授してくれる。  難しすぎる事なく研究機関などの心理学の実験結果等、裏付けを適度に示してあるので、説得力がある。また敢えて説得を試みない事が賢明であるという事例も示し、説得という手段が持つ限界についても言及している部分は、参考になると共に、著者への信頼が高められる。  著者ならではのいつもの適度に毒っ気の利いたユーモアと非常に読み易い文章で、苦労なく楽しみながら短時間で読み終える事ができた。 パワーロジック : 論理の鎖で相手をつかむ無敵の説得術 (SB文庫) ソフトバンククリエイティブ 内藤 誼人 Amazonアソシエイト by